施設から店まで車で通い、ハサミを握り続ける日々
箱石さんは1916(大正5)年に栃木県で生まれ、14歳で上京後、6年間の見習い期間を経て、20歳のときに理容師資格を取得した。結婚後、夫とともに東京の下落合で理容店を開業したものの、太平洋戦争による空襲で店も焼け、夫も戦死した。
終戦後は2人の子どもを育てながら、1953年に栃木県那珂川町で「理容 ハコイシ」を開業。長きにわたり、幅広い世代の地元住民から愛された。
箱石さんは、約1年前から老人ホームで暮らしているため、予約が入れば長男の英政さんが施設から店まで送迎し、ハサミを握る日々を送った。予約は月4件ほどで、地元住民ほか、箱石さんの噂を聞きつけた他県からのお客さんも来るほどの人気ぶりだった。
今年3月にはギネス世界記録にも認定されたが、髪を切る姿勢を維持し続けることが難しくなり、今春から店をお休みしているという。
しかし、109歳となった現在でも大病を患うことなく、施設では毎朝8時に起床し、朝昼晩と三食しっかり食べて、午後7時には就寝する規則正しい生活を送っている。そんな箱石さんの最近の日課は「毎日会いに来てくれる娘のみっちゃん(充子さん)と一緒にお茶すること」だという。















