「囮(オトリ)捜査危機一髪!の巻」(ジャンプ・コミックス第67巻収録)

今回は、両さんが、大規模な麻薬密売組織への潜入捜査を行い、大ピンチに陥るお話をお届けする。

麻薬捜査官が逮捕した麻薬の売人の風貌が両さんとそっくりだったことから、両さんは売人に扮して組織と接触を試みるのだが!?…… 

「制服を脱いだ両さんが警察官と犯罪者のどちらに見えるか?」と訊かれれば、後者のように見えるかもしれないが、リスクの高い賭けではある。

なお、捜査機関が対象者に犯罪の実行を働きかけ、犯罪が実行されるのを待って対象者を検挙する捜査手法……いわゆる「囮捜査」は、日本においてはその適法性についてはかなりグレーな扱いとなっている。犯罪を誘発し犯罪者を作出しかねない行為と見なされているためだ。

ただし本作のような麻薬犯罪や近年続発している特殊詐欺、闇バイトの捜査については、囮捜査が比較的認められているようだ。

特に闇バイトへの対処においては、警察官が架空の身分や偽造身分証明書を用いて犯罪グループに接触し、情報や証拠を手に入れる「仮想身分捜査」が犯罪の誘発の可能性は低いことから、積極的に導入されている。人を騙す犯罪に対抗するために、偽の情報を使うわけだ。

ちなみに、麻薬や覚醒剤、違法薬物に関する取り締まりは、警視庁および各都道府県の警察に加え、厚生労働省が担当している。麻薬取締官、いわゆる「マトリ」は、厚生労働省の地方支分部局である地方厚生(支)局に設置されている麻薬取締部に所属している。彼らは刑事訴訟法にもとづき、特別司法警察職員としての権限を持っている。「薬物」による犯罪への対処の任を、警察だけでなく厚生労働省も担っているのだ。

それでは次のページから、両さんが偽の麻薬売人となり、密売組織に潜入するお話をお楽しみください!!