小学校受験をさせるメリット・デメリット

かつて、私立小に通うことは、学校独自の教育やブランド力、生涯に渡る竹馬の友を得ることとされてきた。しかし、ここ近年では、「中受回避」というキーワードが大きなメリットとして語られているのだ。

ある名門小に娘が通うBさんは、こう語る。

「公立に通わせている友人は、毎日のように塾に通っているけど、うちは家庭教師をつけるくらい。平日はテニスや水泳など習い事に行き、週末は友だちと遊ぶ。長期休みには、家族で海外旅行。思春期に入りはじめた子どもに、勉強をさせるのはきつい。本当に小受をしてよかった」

写真はイメージです(PhotoAC)
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大学の付属ではない名門小学校に子どもを通わせるCさんも、私立小に入れたメリットとして、受験のことを考えずに教育のポートフォリオをじっくり描けると語る。

「大学受験は英語のウエイトが高くなってきている。小学校のうちにある程度英語の学習を終わらせて、中学・高校は別の科目の勉強に時間を割ける」

ただ、私立小はメリットばかりではない。

まずは費用面。私立小の学費は、6年間で約800万円。ここに、受験の費用も加わる。

「小受は中受のように偏差値一辺倒ではないので、勉強が単にできる子どもではなく、学校のカラーに合った子どもが求められ、行動観察という学校ごと採点基準が異なる試験があります。

それぞれの学校で対策が変わるのは当然で、塾でも学校ごとのコースが設けられている。伝統校になると、個人塾と大手の掛け持ちする人が多く、年長になれば月30万円は下らない」(Bさん)

写真はイメージです(Photo AC)
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また、塾の送り迎えは必須。大手塾では、基本的に親が授業を参観することが推奨されている。

Bさんは娘の受験のために、勤めていた広告代理店を辞めることを選んだ。

「個人塾と大手を掛け持ちで、年長になるとほぼ毎日塾通い。幼稚園が終わって、その送迎だけで午後は潰れる。夫はお受験に興味がなく塾代は払ってくれない。仕事を辞めたため、貯金を切り崩して塾代に当てました。総額で500万円くらいはかかりました」

Bさんの娘は無事、第一志望の名門校に入学。周りを見渡すと、母親でフルタイム勤務の人はごく少数で、ほとんどが専業主や家業を手伝うなど時間に融通が効く人だった。

「保護者会など学校行事が多く、子どもに何かあればすぐに呼び出される。いつ呼ばれてもいいように、いつも紺服を着ています。伝統校は、フルタイムの共働き家庭には難しいと思います。

また、遠方だと通学時間もかかるので当然、朝が早い、5時代に起きて電車通学なんてザラですよね、近所の公立なら7時半まで寝てられたのに…」(同)

写真はイメージです(PhotoAC)
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結局、小受も中受も、そう簡単には勝者になれないということだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班