「私が女子プロレスのど真ん中にいる自覚は、ぶっちゃけある」

新日本マットでIWGP戦を闘えることはSareeeにとって無上の喜びだった。しかし、試合の結果は残酷だった。

対戦する親友のなつぽいに対して「ウソのない私たちを見せたい」と意気込む
対戦する親友のなつぽいに対して「ウソのない私たちを見せたい」と意気込む
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「正直、ここで勝って“強い女子プロレス”を新日本のリングでも証明して見せつけて、みんなを納得させて来年1・4ドームへ王者として行く…と思ったんですけど…ベルトを奪われてしまって…。

ものすごく悔しかったんですが、時間が経って冷静に自分を見つめ直したら、ここが私の弱さだと気づかされました。こういう大事なところで結果を出さないと意味がないんです。それは自分の弱さです。だけど、この負けをただの悔しさに終わらせたくない。だからこそあのベルトは絶対、自分の元に戻すし、今よりももっともっと強くなるって誓いました」

思えば、2023年春にWWEから鳴り物入りで帰国した際も「負け」から始まった。「Sareee-ISM」第1回大会でセンダイガールズ(仙女)の橋本千紘と激闘の末に敗れ、そこから這い上がってきた。

「橋本は『強さを求めるにはSareeeを欠かせない』って言ってくれた。私も橋本千紘はそういう存在。タイミング的にも今だからこそ橋本と向き合いたいって心から思いました」

日本復帰戦で橋本千紘と対戦した際のSareee ©Sareee-ISM
日本復帰戦で橋本千紘と対戦した際のSareee ©Sareee-ISM

11月10日の主宰大会では、その橋本と親友でもあるスターダムのなつぽいのタッグと
対戦する。昨年のプロレス大賞受賞から2025年もSareeeは団体の垣根を越えてあらゆるリングの上を駆け抜けてきた。

「私が女子プロレスのど真ん中にいる自覚は、ぶっちゃけあります。これまでの業界じゃありえない唯一無二の存在になっていきたい。私は、誰にも縛られたくない。闘いたい相手と自由に闘いたい」

さらなる高みを目指す太陽神は、来年デビュー15周年を迎える。3月22日に横浜武道館で記念大会を開催する。団体ではなく個人のレスラーがこれほどの会場で自主大会を開催するのは異例だ。レスラーとしてもプロモーターとしても大勝負になる。

「やりたい相手はいます。どうやって近づこうかなって考えて、そこに向けて動いていきます。自分の闘いは自分でつかみにいきます」

フリーのプロレスラーとして一戦一戦、崖っぷちで挑むSareeeのプロレスから目が離せない。

取材・文/中井浩一 撮影/村上庄吾