「私はもっともっと馬鹿になろうと思う」
プロレス界で論争を巻き起こした「ブーイング現象」について、自身の揺るぎないプロレス哲学、魂で応えた。このリアルな感情がSareeeの最大の魅力であり武器なのだ。一方でリング外ではSNSでの誹謗中傷も受けた。
「これは難しいですね。自分は大丈夫なんです。だけど、人間だから誹謗中傷を受けても大丈夫じゃない選手もいます。そういう選手がいることは理解してほしいし、気をつけてほしい。『みんな人間だよ』ってSNSに誹謗中傷を書き込む人には伝えたいですね。
私はプロレスラーとしてリングの上がすべてだと思っています。私への批判があるならその声にリング上の闘いで答えを出したいと思っています。だから、SNSに書き込んでいる人は私の試合を会場で見てから、何かを言ってほしいと思います」
Sareeeが尊敬するアントニオ猪木さんも現役時代、引退後もプロレスは「怒りが重要」と何度も説いてきた。猪木イズムをリアルに受け継いでいるSareeeに今、抱いている「怒り」を聞くと、少し考えた後にこう答えた。
「女子プロレスをもっと世間に認めさせたい。真剣に闘っている選手たちが今、こんなにたくさんいるんだぞって。それぞれの選手の生き様をみてもらいたい。命かけてやっている選手たちの闘いをみてほしい。女子だからじゃなくて男子と同じ目線で私たちの闘いを見てほしい。だから、私はもっともっと上に行かないといけないんです」
生前、アントニオ猪木さんは「馬鹿になれ!」と後輩のレスラーに説いてきた。その言葉の意味についてSareeeは「最初はわかんなかった」と正直に打ち明ける。
「猪木さんが『馬鹿になれ!』っておっしゃっていた意味が今、私の中でわかり始めています。最初は『どういうこと? 馬鹿になれ!』って…馬鹿になったらダメじゃんと思っていました。
それが最近は、『あ、こういうことか!』とわかりかけてきた気がします。馬鹿にならないとやってられないですし、この世界、馬鹿にならないと無理なんですよ。だから、私はもっともっと馬鹿になろうと思います」
現在、フリーとして「スターダム」と「マリーゴールド」のライバル団体を縦横無尽に闘う規格外の存在となった。しかし、10月13日には新日本プロレスの両国国技館大会で、朱里に敗れIWGP女子王座から陥落している。
「新日本プロレスのリングは、言うまでもなくIWGPベルトの原点、しかも尊敬するアントニオ猪木さんが創設し、猪木さんが創始したリングに上れることだけでも光栄なことでした。タイトルマッチは急遽、決まったんですが私の中では、デビューから14年目でやっとここまで辿り着いたか…っていう感覚でした」












