浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。

(あ、こらあかんな。これ以上は言われへんわ)

直感的にそう思いました。何十年続いているコンビでも何でもありと言う訳にはいかんのやなあ。それとも周りの何人かの顔が頭に浮かんだのかなあ。いやいや、浜ちゃんを問い詰めるのは本意やないしなあ、とその場は早々に撤退しました。

あれから10年以上経ちました。ダウンタウンはより巨大になり、レジェンドと言われる存在になりました。ただその間にいろんな話題があり、いろんな事件がありました。愉快なことばかりではありませんでした。

これからダウンタウンは一体どうなっていくんですか。気になっています。松ちゃんはもうテレビには出ないんですかねぇ。浜ちゃんはどうするんですか。

11月からスタートする有料配信サービスは『ダウンタウンプラス』という名称みたいですから、だとしたら、当たり前のことですが浜ちゃんは時々出演するというのではなく、ずっと出るべきだと思っています。

それまでの漫才界、コント界の常識を覆し、大革命を起こした二人が、60歳を超えた今再び、二人だけで大旋風を巻き起こす時です。

もし仮に、チャンネルスタート時の話題作りだけのために浜ちゃんをちょこっと参加させようということだったら、そんな金儲け主義のブレーンの言うことを聞く必要はありません。他の出演者が出るにしても、松ちゃんのご機嫌を取るだけの太鼓持ちタレントは一掃してください。

浜ちゃん、自分の現在のステイタスを過小評価しないでください。もう既にレジェンドなんですよ。歴史上の人物になる人なんですよ。

安モンの権力者達と距離を保ったり、意味のない金儲けをするのは控えてほしいです。晩節を汚すのは日本の大損失です。100年後の世界でも、なお燦然と輝いている存在でいてほしいのです。

「ダウンタウンの笑いは、弱いもんに力を与える笑いであってほしい」──伝説の番組『4時ですよーだ』のプロデューサーが浜田雅功に託す、ダウンタウンへの願い_2

「今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」

ちょっと昔話をします。『4時ですよーだ』が始まる前の年、1986年ですから今から39年前のことです。その日ぼくはMBSの千里丘放送センターで遅くまで働いていました。

深夜2時を過ぎて仕事が終わり、自分の車で自宅に向かいました。その時カーラジオから聞こえてきたのはMBSラジオの『真夜中のなか』という番組でした。

若い男の子二人がしゃべっていました。それほど刺激的な話題を話してた訳でもなく、フツーの世間話をしていただけなのに、ビンビンと心の奥に響いてきました。

えっ? こいつら誰や? 一体何者なんや? 僕はテレビのディレクターをやる前、6年間ラジオのディレクターを経験してきましたが、こんな風にしゃべる人間に会ったことはありませんでした。

「うまい」とか「テクニックがある」という訳でもない。「説得力がある」という訳でもない。荒削りで未完成ながら「ほほう、ラジオでこういうしゃべり方があったのか」という新鮮な驚きでした。

この二人は自分達が何者かを一向に言う気配がなかったので、さすがに番組の終わりには言うだろうとジリジリしながら待っていました。そしてエンディングテーマが流れ、やっと二人は自己紹介をしました。

「真夜中のなか木曜日、今夜のお相手は浮世亭三吾・十吾でした。じゃあまた来週!」

おいおい、違うやろ! 浮世亭三吾・十吾は松竹芸能の中堅の漫才師や。完全にスカされてしまいました。

次の日、ラジオの担当者の所に聞きに行きました。そこで初めて「ダウンタウン」、君たち二人だと知ったのです。