自分らしい美しさ
心境の転機となったのは、今所属している事務所の社長さんからの言葉だった。
「『これからは痩せていればいいっていう時代じゃないし、年齢を重ねたら“肉”があるほうが素敵だから』って言われてハッとしたんですね。
そのころ私は30代後半で、顔が痩せると、やつれて見えることが気になっていたんです。やっぱりある程度の年齢になったら、多少お肉がついていた方が若々しく見えるし、ハリが出てシワも目立ちにくいですよね」
両親がもともと細身で、家系的に太りにくい体質だという熊切。今は逆に「ちょっと太らなきゃいけない」と笑う。
「この年齢になって、ちょっとぽっちゃりがいいっていう意味が分かるようになりました。歳を取って『お肉』の大切さに本当に気づきました。ウエストも、鍛えたほうがトータルバランス的に美しくなりますしね。グラビア撮影も、その年齢なりの健康美を表現できればと思っています」
プロテインを運動後と就寝前に飲み、週に何度もトレーニングに通う。ただし無理はしない。40分だけ、楽しくトレーニングする。それが現在の彼女のスタイルだ。彼女はこう言った。
「筋肉は裏切らない」
エステに行くよりもトレーニングに行きたい。自分で作った身体の方が美しい。細ければ美しいという呪縛から解放され、健康的で自分らしい美しさを追求する。自分のために磨き続けるその姿勢が、45歳の今も輝き続ける理由なのだろう。
後編では、熊切あさ美の年齢に対する考え方とメンタルケアについて話を聞いた。
取材・文/木原みぎわ 撮影/山田智絵













