永田町は閉ざされた世界、化石のようなおじさんも…

今回の炎上を受け、多くのメディアでは「ウチの社ではないですが気を付けてください」と記者や現場に異例の“通達”をしたという。

某民放の30代の政治部記者がこう内実を明かす。

「うちを含むテレビや新聞の記者を揶揄する声がSNSでよくありますが、そもそもあの位置はカメラマンさんやテレビカメラがスタンバイしてるところです。ネットでは、記者やカメラマンの傲慢さを指摘する声も見られますが、そもそも現場のカメラマンにも記者にも論調を左右するほどの権限はないですよ。

さらに今回の会見場は党本部ですから、平河クラブに所属する記者だけではなく、フリーの人も来ている。今回は時事通信社のかたでしたが、フリーの記者やカメラマンでも暴言を吐いたりと、かなりマナーの悪い人がいます」(民放の政治部記者)

時事通信社の謝罪文(時事通信社公式HPより)
時事通信社の謝罪文(時事通信社公式HPより)

狭い永田町で日々同じ対象相手を追っかけている政治の現場では、妙な仲間意識が芽生えやすいという側面がある。取材の待機中には、身内同士で口が軽くなり、ついつい冗談や軽口をたたいてしまうことも珍しくない。

なかでも、「昭和世代」のベテランのカメラマンや記者の口の悪さは際立っているという。

「オジサンカメラマンは昔からとにかく、口が悪い人が多いですね、これは政治部だけでなく事件現場や芸能でもそうです。下ネタは多いし、若い女性記者にセクハラ発言するし、道端でタバコ吸ったり暴言も吐いたりする。送検の現場で車内の被疑者の姿を捉えようと、車両に無謀な“アタック”をするのもたいていこの世代の人たち。

もっとも、最近はいつでも誰でも、カメラに捉えられ、SNSにアップロードされてしまう時代。さらされるリスクがわかっているだけに、あまりに非常識な行動はなくなり、現場のマナーは随分とよくなった印象です。

そういう意味では、永田町はいまだにクローズドな閉ざされた世界だから、時代に合わない化石のようなオジサンも残っているんだとおもいます」(週刊誌デスク)

そもそも永田町は、昔ながらの長時間労働やセクハラ・パワハラが横行する古い「昭和」な体質が今も色濃い取材現場だ。コンプライアンスが叫ばれる昨今の風潮を受けて、いくぶん改善の兆しもあるとはいえ、その気風はいまだに根強く残っている。

前出の週刊誌デスクは、「昭和のオジサンカメラマンって横柄な人が多いですが、腕がめちゃくちゃ良くて、その人じゃないと撮れないものもある。なり手不足の業種だし、若い子は腕も根性もない、だから結局頼ってしまうんですよ。

今後同じことがないように『たとえ冗談でもそんなことを言わないでくださいよ』とキツく言うと、スネて仕事してくれないので優しくクギを刺すしかできませんね」とため息をついた。

個人的な好悪で、意図的に誰かを貶めるような報道はあってはならない。マスコミ業界全体の人材不足も、ガラパゴス化した「昭和」で偏向的なカメラマンや記者をはびこらせる要因にもなっているのは間違いなさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班