休息と睡眠で体を更新する

休むことの大切さは、フィンランドのコーチから学びました。オフのときは温泉に行ったり、ドライブをしたり、おいしいものを食べる。海外の遠征先では、おいしいレストランを探すのも楽しみのひとつです。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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試合前は減量をしますが、終わった後は、好きなものを食べる日をつくっています。オンとオフのスイッチをこまめに切り替えて、ストレスを溜めないようにします。

睡眠は最大の休息です。僕はショートスリーパーなので、4、5時間寝れば体力が回復します。短い睡眠時間でなぜ元気なのか、ずっと謎でしたが、あるとき脳波を測ったら、常に安定した波長が出ているようでした。

ベッドに入ると、『ドラえもん』ののび太ぐらい早く寝ます。2、3秒で眠りに落ちます。しかも深い眠りです。ですから、基本的に夢も見ません。ある脳トレーニングの先生によれば、僕の脳は、スイッチが切り替わるのが早いということでした。だから寝るときは寝る、起きるときは起きると、瞬時に脳が回転しているようです。

それはジャンプのときも、球技をしているときも同じで、パッと脳が切り替わるのが早いので、脳の疲れがないようです。

就寝時間は決まっていません。12時前に寝ることは少ないですが、先日、夜の9時に寝たところ、しっかり5時間後の午前2時に目が覚めました。どの時間に寝ても、5時間で起きるのです。夜の12時に寝たとしても朝5時に起きるし、夜更かしして1時、2時に寝ても、6時、7時には必ず起きています。

海外に行くと時差があるので、対応するまでに時間はかかりますが、時差ボケが直れば、5時間寝ると生活環境は整います。早朝4時、5時に目が覚めても、「やった、走れる」と頭が切り替わり、走りにいきます。冬の北欧の朝は、真っ暗で息も凍りそうですが、瞬間的に「走る」ことに気持ちが切り替わっているので、ストレスはありません。

枕は、遠征のときはマイ枕を持ち歩いています。ホテルの枕は、大きめの柔らかい枕が多くて、首や肩が凝るというか硬くなるので、使いません。首のあたりにフィットするような、小さめの枕で寝ています。

飛行機の中にも一応持ち込みますが、飛行機ではあまり寝れないので、ずっと映画を観ています。マットは、ミズノの「リフルマットレストッパー500」を使っています。丸めてゴルフバッグぐらいの大きさになるので、それを持ち歩いています。

海外のベッドはみんな柔らかくて、腰が「く」の字に折れてしまうので、腰痛の原因になります。そこにマットを1枚敷くことで、力を分散してくれるので、腰痛防止に役立っています。

パジャマも腰痛対策で、肩と腰に磁気が入ったパジャマを着ています。腰痛になってしまったら、鍼灸マッサージのできるトレーナーさんに治療をしてもらいます。自分では毎日、腰痛にならないストレッチをしています。腰痛も、「あ、来そうだな」という前兆があるので、そのときは、腰に負担のないトレーニングメニューに変えています。

限界を外す レジェンドが教える「負けない心と体」の作り方
葛西 紀明
限界を外す レジェンドが教える「負けない心と体」の作り方
2025年9月17日発売
1,067円(税込)
新書判/224ページ
ISBN: 978-4-08-721379-9

50代に入っても国内大会で連続優勝し、世界の舞台に返り咲いたスキージャンパー葛西紀明。8度の五輪出場を果たし「レジェンド」と呼ばれる男は、ランニングをはじめとした練習法、習慣を工夫することで心技体を整え、現役選手として年齢の壁を超え続けている。
「負けたくない」気持ちを原動力に、妥協せず積み重ねた努力とは? 自らの限界を外してきた軌跡、そして年齢を重ねても成果を出し、挑戦し続けるための思考法、セルフマネジメントの極意を語る。

◆目次◆
第1章 限界を外すことで進化してきた
第2章 どん底からの復活
第3章 限界を超すメンタルをつくる
第4章 限界を外す体のつくり方

◆主な内容◆
●4年ぶりの復活
●51歳で見直した減量とランニング
●ランニングは一石三鳥のトレーニング
●限界は少しずつ外す
●50歳を超えても進化している理由
●「負けたくない」という気持ちが原動力
●コントロールできるのは自分だけ
●三日坊主にならないために
●コンフォートゾーンを超える
●若い選手から刺激をもらう
●20年かけて完成したジャンプ
●逆境こそがチャンス
●53歳の練習メニュー

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