「それぞれの陣営の選挙責任者に対し厳重注意を行った」 

「候補者による論戦が活発化する中、複数の陣営の選挙運動に対し、禁止事項に抵触するのではないか、との指摘が管理委員会に届いている。公選規程に抵触しかねない陣営間の感情的対立を煽る恐れのある事案に対しては、事実関係を確認したうえで、選挙管理委員長から、それぞれの陣営の選挙責任者に対し厳重注意を行ったところです」 

自民党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長(自民党HPより)
自民党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長(自民党HPより)

要するに、違反が多いからもっとクリーンにやりなさい、ということらしい。自民党再生のための総裁選だったはずだが、まさに「貧すれば鈍する」といったところか。そんな「内部崩壊」をいまもっとも起こしているのも小泉陣営だ。

冒頭にあるように、今回の文春へのリークの犯人捜しに躍起になっているという。じつは総裁選序盤にも陣営の配置図が漏れた。「リークしている裏切り者が内部にいる」と陣営内は疑心暗鬼に陥っているというのだ。

 陣営内は刺し合いのような状況に陥っている 

「『小林史明氏が主犯ではないか?』『いや木原誠二氏が怪しい』など、陣営内は刺し合いのような状況に陥っている。とにかく雰囲気が最悪です」(陣営中堅)

小泉陣営は告示日の決起集会に92人(代理出席含む)が出席するという大所帯だ。小泉氏と当選同期の斎藤健元経済産業大臣、加藤勝信財務大臣、木原誠二選挙対策委員長、野田聖子元総務大臣、河野太郎元デジタル大臣など、重量級も多数そろう。決起集会でそうしたメンバーに囲まれた小泉氏が感極まって涙ぐむシーンまであり、もはや勝負は決した、と誰もが思った。

ところが政界はまさに「一寸先は闇」といえよう。

この「ステマ」疑惑報道が流れを完全に変えてしまった。ある陣営スタッフは「犯人捜しなんてもそもそも無謀だ」と憤る。よく言えば「重厚」ともいえる小泉陣営だが、逆にいえば、寄せ集めの混成部隊だ。国会議員や秘書たちのメーリングリスト、LINEグループも複数乱立していて、さらに市町村長や地方議員のグループもある。

500人以上の地方議員が登録されたLINEグループもあるらしく、「犯人捜しもなにも、そういったところにかたっぱしから『応援依頼』なんて送れば、漏れるに決まっている」と嘆く。

このスタッフはさらに続ける。

「選挙は生き残りをかけた戦争だから、これぐらいのことはこれまでもやってきた。ただやるからには、口頭で伝えて証拠を残さない。文書で配るなら必ずシュレッダー廃棄するように厳命する。保秘の徹底はこの世界では常識的なことで、メールで依頼するなんて軽率すぎる」