古謝市長の女性運転手「勤務中に胸をさわられた」
「市長にセクハラ疑惑がある、と聞いた時もまったく驚きはなかった。逆に『なんでいまさら』という疑問が浮かんだくらい」。
古謝市長を知るある地元関係者はこうため息をつく。
9月26日の市議会で不信任決議が可決された古謝市長。今後は、地方自治法の規定に基づき10日後に当たる10月6日までに議会の解散か、失職か辞職かの道を選ぶことになる。
「古謝市長はこれまで、来年2月に控える市長選まで続投する方針を貫いてきました。ところが、今回の不信任決議を受けて古謝市長が失職か辞職のいずれかを選ぶということになれば、市長選が前倒しで行われることになる。
地方自治法で、首長の失職・辞職から50日以内に選挙を行わなければならないという決まりがあるためで、問題発覚後も粘り腰を続けてきた古謝市長はいよいよ進退窮まった格好です」(地元紙記者)
そもそもの問題の発端は、2022年12月にさかのぼる。古謝市長の運転手をしていた女性が市に「勤務中に胸をさわられた」などと市長からの「セクハラ」を申告し、対応を求めた。
ところが、市側はその後、女性との業務委託契約を解除。この件を地元紙が報じ、その後、女性は市と市長側に損害賠償を求めて民事提訴したほか、県警への被害申告にも踏み切った。
一連の問題を受け、市議会が職員アンケートを実施したところ、「市長からのセクハラ」の訴えが複数あったことから、市が市議会の要請を受ける形で第三者委員会を設置した。
この間、2024年3月に市議会が最初の不信任決議案を提出したが否決。翌25年5月、第三者委が、職員に対して「出張随行の際のキス」「飲み会でのキス・太ももを触る」などの複数のセクハラ行為があったと認定し、古謝市長に辞職を求める「提言」を行った。
「それでも市長は『何もやっていない』の一点張りで第三者委員会の提言を拒否し、職にとどまりました。第三者委員会からの提言があった直後の不信任決議も自身の影響力を駆使した多数派工作で否決に持ち込み、7月にあった3度目の不信任決議も乗り切りました」(前出の地元紙記者)
3度目の正直ならぬ4度目の議決でついに可決に至った背景には、古謝市長が職員に「ハグはやったさぁね」「変なことやられていないって言ってね」などと自身の行為を自白し、被害者に口止めするかのような発言が明るみに出たことがある。
被害に遭ったとされる職員が、古謝市長とのやり取りを録音した音声データの存在が報じられ、これまで市長側に立っていた与党市議側から「これ以上かばいきれない」との声が相次いだ。
最終的には、与党市議側から不信任案が提出されることとなり、「市長擁護」のスタンスを崩さなかった市議の翻意を促す形で、要件である「出席議員の4分の3以上の賛成」を満たして可決に至ったのである。