アパレルの拡充
そして、僕がもう一つの力点と捉えているのがアパレルだ。
普段使いできるプロレスTシャツを作ることは、僕が大学生の頃からの夢の一つだった。
もっとも、街中で普通にプロレスTシャツを見ることができた時代も一度はあった。1990年代後半に一大ムーブメントとなった『nWo』だ。
1996年にWCWでハルク・ホーガン、スコット・ホール、ケビン・ナッシュにより結成されたnWoだが、日本では蝶野正洋さんが「日本支部」的な軍団としてnWoジャパンを設立し、日本でも爆発的ブームとなった。
1997年度には約43億円の経済効果があり、同年度には『nWoTシャツ』だけで6億円の売上が記録されている(もっともnWoの権利はWCWが持っており、新日本プロレスの収益にはあまりならなかったことは残念だったけど)。
僕はnWoブームの時のように、街中でプロレスTシャツを普通に見かける時代を再び目指したいのだ。プロレスファンはマイノリティの習性もあって、実際に僕もそうだったけど、街を歩いていてプロレスTシャツを見かけるとうれしかったりする。
現在、僕が街で一番見かけるのは内藤をはじめとするL・I・JのTシャツだ。
自分のもの以外のプロレスTシャツを見かけても、「この野郎」とは思わない。むしろ「ああ、プロレスを好きでいてくれているんだ、ありがとう」というのが正直な思いだ。
そんなわけで、僕はこれから新日本プロレスのアパレルを一層拡充していきたいのだ。
最近は闘魂SHOPでも、コロナ禍を機に、選手と一緒にYouTubeでサインやブロマイドを付けながら商品を紹介する機会なども増えてきた。これはもともとコロナ禍の影響で闘魂SHOPの店舗に訪れることができなかったり、プロレス会場でのグッズ販売が難しかったりという苦い経験から生まれたアイデアでもある。
僕は岐阜出身で、大会が地元に来たら会場でグッズ販売があるけど、その機会は年に1、2回しかなく、なかなか購入できないという環境を身をもって知っている。だから、なかなか東京の闘魂SHOPに行けないファンの方に喜んでもらえているのではないかと思う。
かつてのプロレス関係のアパレルはちょっと外では着づらいようなものも少なくなかった。だけど最近の新日本プロレスのアパレルは、以前よりも着やすいものが増えてきたと言ってもらえることが多い。
昔はプロレス会場に着ていくことはできるけど、なかなか自分の私服には落とし込めないものが多かった中で、一世を風靡したnWoは何と言っても着やすかった。普段のファッションに取り込める工夫をすることが、新日本のアパレルを気軽に手に取っていただくためには必要だと実感する。
例えばライオンマーク一つとっても、昔ながらのかっこよいデザインではあるけど、少しばかりクセがあることも事実だ。だからこそ、それをどう活かし、ファッションに落とし込むかを考えた上で展開していきたい。