「母親になって後悔してる」が共感を呼ぶ日本の結婚…子育ての身近なロールモデルがいない中で結婚後の「美しい景色」を語れるのは誰か
厚生労働省によると、2024年に国内で生まれた日本人の子どもの年間総数は、68万6061人となり、前年より4万1227人減少した。出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計調査が始まって以降、初めて70万人を下回った。子どもを作る人が多い世代であるZ世代は「結婚」や「出産」についてどんな意識を持っているのか。
書籍『Z世代の頭の中』より一部抜粋・再構成してお届けする。
Z世代の頭の中#3
『母親になって後悔してる』がベストセラーに…
ですが22年、一つのタブーが解放されました。イスラエルの社会学者オルナ・ドーナト氏が著した『母親になって後悔してる』(新潮社)が日本でもベストセラーとなり、母親たちが「誰にも言えなかったけど、私も思ったことがある」など、次々と声をあげ始めたのです。
写真はイメージです(PhotoAC)
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日本では長年、「子どもを産んで後悔している」と人前で話すのは、大きなタブーだったはず。でも、そこが解放されたわけですから、逆に「産んでよかった」とZ世代に語り、出産の先にある「美しい景色」を見せてあげる大人が増えてもいいはずです。
既述の通り、親が自分を愛してくれたと感じているZ世代が、年収や雇用形態、あるいは「親ガチャ」などの境遇を超えて、「自分も子どもを育ててみたい」「新しい家族が欲しい」との思いをどこかに秘めているのだとすれば……、彼らが出産(子作り)に向けて勇気ある一歩を踏み出すためにも、まず親として、人生の先輩として、大人世代の私たちが変わるべきではないでしょうか。
なぜなら、先行き不透明な時代に「国も会社も守ってくれない」と嘆く若者たちの多くが「最後の砦」だとするのは、親であり、家族であり、信頼できる大人だからです。
文/牛窪恵
2025年7月10日
1,210円(税込)
296ページ
ISBN: 978-4296120758
早期離職、タイパ重視、恋愛しない、飲み会嫌い、スマホ中毒……若者の「それ」本当ですか?
近年、日本の職場や消費の現場で、あるいは少子化のキーパーソンとして、広く注目される「Z世代」。実は、メディア発信による既存イメージの多くが、彼らの実像を見えにくくし、「昭和・令和世代」との大きなギャップを生んでいる可能性が、指摘され始めています。
たとえば、「会社をすぐ辞める」「恋愛・結婚は面倒」「お金を使わない」「打たれ弱い」「親とベッタリ」「政治に無関心」……など。こうした世間でのイメージの背後で、実際の令和の若者・Z世代の多くは何をどう考え、なぜそのように振舞っているのでしょうか?
本書では、消費者研究で定評のある世代/トレンド評論家・牛窪恵が、令和の若者1600人以上への大規模調査(※)と55人へのデプス(1対1)インタビューを基に、彼らのナゾにとことん迫ります!
(※大規模調査=協力:CCCマーケティング総合研究所)
●本書に登場するZ世代のナゾ●
○なぜ第一志望に決まった直後に「転職サイト」?
○なぜ「いいね」の数より「界隈」を好む?
○なぜ仕事と恋愛は「トレードオフ(両立できない)」?
○なぜ健康志向なのに体に悪そうなモノを買う?
○なぜ「地元好き」なのに都会や海外に出ていく?
【目次】
第1章 若者は「すぐ辞める」のか――仕事と働き方のナゾ
第2章 若者は「ニッポン」に興味がないのか――政治と起業、地元志向のナゾ
第3章 若者は「結婚が面倒」なのか――恋愛と結婚のナゾ
第4章 若者は「親に甘えすぎ」なのか――家族と出産のナゾ
第5章 若者は「お金を使わない」のか――消費とSNS、友人関係のナゾ
第6章 若者と、どう歩んでいくべきか――Z世代と創るニッポンの未来
Z世代の皆さんへ 行動経済学に基づく「3つの知恵」