日本アイドルの快進撃
他国でも、「危機」「衰退」という直接的な表現で、K-POPの現状を伝える記事が散見される。曲がり角に来ているのは、日本市場に限らないようだ。
〈K-Pop in crisis? Around 93m albums were sold in South Korea in 2024 – 23m fewer than in 2023(危機的状況にあるK-POP? 2024年の韓国におけるアルバム販売枚数は約9300万枚で、2023年より2300万枚減少)〉(Music Business Worldwide、2月5日配信)
〈‘It’s ended up being nothing to no one’: can K-pop overcome crisis?(「結局、誰にとっても何の意味も持たなくなった」:K-POPは危機に打ち勝つことができるのか?)〉(The Guardian、3月27日配信)
〈K-POPガールズグループの衰退:BlackPinkのような黄金時代は終わったのか?〉(Vietnam.vn – Nền tảng quảng bá Việt Nam 、7月2日配信)
〈K-POPの衰退、多くの小規模グループが解散〉(Vietnam.vn – Nền tảng quảng bá Việt Nam 、8月11日配信)
また、K-POPの歴史を作ったといわれる韓国大手芸能事務所・SM ENTERTAINMENTの日本法人は、8月4日に発表した決算で、2025年12月期第2四半期累計の売上高が前年同期比6.3%減、連結経常利益は同56.7%減。一般的なイメージほど、K-POP業界が絶好調というわけではなさそうだ。
こうしたなか、現在のアイドルシーンで復権してきているのが、メンバーカラーやフリフリ衣装、公式も用いる愛称、ハーフツインやツインテールなどの髪型、大きな髪飾りといった、一般的に“アイドルといえば”でイメージされるような日本型のアイドルだ。
その筆頭といっていいのが、アソビシステムのプロジェクト『KAWAII LAB.』(通称・カワラボ)の各グループだ。なかでも、2022年にプロジェクト第1号として誕生した7人組・FRUITS ZIPPER(通称・ふるっぱー)は、時代を創っているといっていい。
FRUITS ZIPPERは2022年4月に配信したシングル『わたしの一番かわいいところ』がTikTokで大バズリし、総再生回数は今年3月時点で30億回を突破。同世代の若い女性を中心に支持を広げ、ストリーミング総再生回数も累計1.5億回を突破し、2023年の第65回日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞した。
8月3日には、2026年2月にグループ初となる単独での東京ドーム公演を行なうことも発表され、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いといっていい。
カワラボからはその後も、CANDY TUNE、SWEET STEADYなどの新グループが誕生し、次々とブレイク。2024年8月にデビューしたCUTIE STREETは、デビュー曲『かわいいだけじゃだめですか?』がいきなりTikTok総再生回数66億回を突破。
Z世代を対象としたシンクタンク・Z総研の「2025年上半期 Z世代が選ぶトレンドランキング 流行ったアイドル」の調査結果でも、FRUITS ZIPPER、CUTIE STREET、CANDY TUNEが1位~3位を独占している。
ももいろクローバーZの後輩にあたる『超ときめき♡宣伝部』(通称・とき宣)も、現在のアイドルシーンを代表するひと組に数えられる。