総選挙での炎上に「すごく傷つきました」
アイドル時代の須田は、“握手会の女王”とも呼ばれる神対応でファンの心を掴み、2018年に実施された『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』では1位の松井珠理奈に次いで、2位となるほどの人気を獲得した。
アイドルグループ出身者のなかには、グループ卒業後に“アイドル”という肩書がなくなり、進む道に迷うケースも少なくないが……。
――須田さんはSKE48を卒業後、“アイドル”という軸がなくなり、苦悩したことなどはありましたか。
須田亜香里(以下、同) アイドル時代はファンのみなさんのことを思って悩むことはあったんですけど、逆に今、めっちゃ自由で楽しいです!
例えば、数年前に主演させていただいた『打姫オバカミーコ』という映画では、当時まだアイドルだったんですけど、萩原聖人さんとハグするシーンがありました。
たとえ演技だとしても「ハグしたらファンの人は私に対してどう思うんだろう」「演じるキャラクターがハグをしているってことをうまく飲み込めないファンの方がいたらどうしよう」みたいに考えてしまっていたんです。みんながみんなそういうファンの人だったわけじゃないけど、今思うとそこに不安を持っちゃう自分がいましたね。
何か発言をするときも、憶測や誤解を生むのがすごく嫌で。本当に思っていることを言う時はいいんですけど、「アイドルだからアイドルらしい発言をしよう」だとか、「元気な私を求めていると思うからポジティブな発言を…」と思うとうまくいかなくて。
今は、自分がしたい表現をするし、思っていることを自由に自分の言葉で発言できる。「須田亜香里」としても自由になったし、役としても自由になった感じがします。
本当はアイドル時代ももっと自由にしても良かったと思うんですけど、私は「アイドルとはこうあるべき」とか形から入るタイプなので、アイドルっていう職業をちゃんと終わらせたことで、次に進めているなっていう実感はあります。
――他にアイドル時代でファンとの距離感などで悩まれたことはありますか?
総選挙で10位になった時(2013年『AKB48 37thシングル 選抜総選挙』)、「みんなが求める私でいなきゃ」って思いすぎて、自分でもよくわからなくなり、スピーチが長くなっちゃったんです。
その日は大雨で、しかも野外のステージだったので、「雨なのにスピーチが長い」って、すごく叩かれたんですよ。それはすごく傷つきました。みんなが喜ぶ私でいようと一生懸命もがいたのに、こんなに炎上するんだって。
須田は、アイドル時代、ネット上で「かわいくない」などと書かれることもあったが、2017年には、逆境をバネにする秘策を公開した自己啓発本『コンプレックス力〜なぜ、逆境から這い上がれたのか?〜』(産経新聞出版)を出版し話題を集めた。
だが昨今は、当時よりもSNSで飛び交う誹謗中傷などがさらに社会問題化するなど、深刻化している。そんな時代のなかで、自身の言葉を発信する際に気を付けていることはあるのだろうか。