「温存カード」に回され、今回は選ばれない可能性も…?
また、「進次郎構文」で知られる論戦力不足も課題だ。前回の総裁選では、外交について問われた際に発した「(カナダの)トルドー首相は就任した歳は43歳。私は今、43歳」といった「同年代アピール」発言が「軽すぎる」などと批判を浴び、失速した。
「今回も進次郎氏が戦いの軸となれば、他候補は討論会で進次郎氏に論戦を仕掛ける場面が多くなるだろう。そこで化けの皮がはがれてしまうおそれがある」(自民関係者)
農水相としてはそつなく会見をこなし、備蓄米の放出でも一定の成果をみせたが、首相となると外交や財政、政治とカネなど、そのときどきの課題全てへの答弁が求められる。
「昨年の総裁選からの1年でどこまで成長できたのか。1度ならず2度も論戦力不足を露呈すると、今後の政治家としての立ち位置にも影響しかねず、総理候補どころではなくなるかもしれない」(同)
そして最後に、皮肉にも「進次郎氏以外に自民党の解党的出直しを実現できそうな人材がいない」ということが進次郎氏を総理総裁の座から遠ざけてしまう可能性もあるという。
「今の少数与党下の自民党では、誰が総理になっても厳しい状況は続く。国民人気の高い石破氏を総理にしても、自民党は選挙で勝てなかったし、経験の浅い進次郎氏で現在の国会を乗り切れるのか不安だろう。
“進次郎総理”がコケたら、次の“持ち駒”がなくなる。衆院選はまだしばらくやらなくていいのだし、進次郎カードは自民党の党勢を回復できそうで、衆院選がありそうなタイミングまで温存しておきたいという心理もはたらいている」(自民議員)
進次郎氏にとって、総理になれる可能性もあるが、総理候補どころではなくなるリスクもはらむ今度の総裁選。前回の総裁選で掲げたスローガン「決着」を今度こそつけることができるか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班