今は寂しさを埋めるツールが山ほどある
で、昨晩、そんな私がLINEを返さずに一人で何をしていたのかというと、主にTikTok。
アルゴリズムで次々に上がってくる自分好みの動画を眺めていたら、約5時間ほど、いつの間にか時間が溶けておりました。
LINEにしろ、電話にしろ、人と話すのは気を遣うから「面倒臭い」。
もともと、そう思いがちな性格ではあるものの、最近はその「面倒臭い」がどんどん加速。
それはきっと、世の中が便利になりすぎたのもひとつの原因なんだと思います。
暇だなと思ったら、Netflixで映画やドラマも見られるし、スマホでゲームもできちゃうし、本や漫画だってネットですぐに買って読めちゃう。
今は寂しさを埋めるツールが山ほどあるから。
友達に頼ったり、恋人に甘えたり、“誰か”の力を借りなくても、スマホ1台で自分の寂しさを埋めることがでてしまう。
だからこそ、一人がどんどん心地よくなってしまうんだよね。
こんなにも便利じゃなかった時代は、夜がすごく長かった気がします。
今でも覚えているのが、上京したての頃、コンビを組む前の光浦(靖子)さんと長電話をしたこと。
あの頃は一人暮らしの部屋にプラスチックの安い固定電話を置いていて。
東京にも大学にもなかなか馴染めなかった私たちは、その寂しさを埋めるように、夜な夜な電話を掛け合ったんだよね。
昔は恋をしているときも、夜がすごく長かったな。
相手のタイミングを考えすぎてしまう私は自分から電話をかけることができず、連絡は常に“待ち”の姿勢。
だからこそ、携帯電話を手放すことができなくて。
夜中に何度もセンター問い合わせをしてメールをチェックしてしまったりしてね。
あの頃は気を紛らわすものがなかったから、彼のことばかりをずっと考え続けて、どんどん重い女になっちゃって、最終的には生き霊を飛ばしたこともありましたからね。
スマホ1台あれば孤独を簡単に紛らわすことができる。
便利な世の中には助けられているけれど、そのおかげで、孤独がどんどん深まっているような気もします。
それが良いのか悪いのかわからないけれど……。
今日もやっぱり、LINEの返事をせずにTikTokを眺めてしまう私。
今の私にとってスマホは、気を遣うこともなく手軽に寂しさを埋めてくれる、ちょうど良い相棒。
今はまだチャットGPTに手を出していないから、A Iと友達になってはいないから、使いすぎて熱々になったスマホに「どうしちゃったの〜、チンチンになっちゃって♡」と話しかける程度で済んでいるから、きっとまだ大丈夫だから……。
しばらくはこのまま、スマホとの良好な関係を続けていきたいと思います。
聞き手・構成/石井美輪 題字・イラスト/中村桃子 撮影/露木聡子