年配教諭からの「指摘」を「いじめ」と捉えた新人教諭
Aはなぜこのような事態を引き起こしてしまったのか。教職員課の担当者によれば、こんな理由があったそうだ。
「8月21日に発表した『教職員の処分について』(という文書)には、A以外にももう一人、『職場の秩序を乱す行為に関係した教職員1名を文書訓告』とされた40代の男性教諭Bがいます。この者はAと同じ市立小に今年から異動してきました。実はAはBの影響も多少受けていたようです」
なんでもBは異動早々から「これまで自分がいた学校でのルールはこうだった」「なぜそのルールに改善しないのか」といった意見を繰り返し伝え、校長らが「学校それぞれでルールは違う」旨を説明しても納得しなかったのだという。
「Bは複数名の教諭を前にこのような意見を繰り返し、Aもその姿を見ていたようです。それも影響してか、Aは5月に校長を叱責する前の4月10日、校長の発言中に笑ったような表情をしたと他の年配教諭から指摘されたことを『いじめ』と捉え、翌11日に校長に『(指摘をしてきた)教諭からの言葉に傷ついた』旨の相談をしました。その日に市教委にも校長から報告が来ていました」
これに対し、市教委の担当者は「いじめではなく教師間の指導」だと判断。さらに4月下旬にAと校長を呼び出した。
「その際、Aには『傷ついたことは気持ちの問題だし、申し訳ない。しかし年配教諭からの指摘はいじめではない。困ったことがあったらなんでも相談してください』という話をしました。私から見ても人格者である校長とは『風通しの良い職場にする』ということも話し合いました」
担当者はその際のAの様子について「表向きは納得したように見えました。心の底でどう考えていたかはわかりませんが、今後改善が見られるだろうと期待しました」と振り返る。
しかし、Aは改善するどころか児童や保護者を不安にさせる事態を起こしてしまった。
たしかに、初任校でいきなり学級を担当することは新人教師にとって負担が大きく、早期退職の原因との声もある。しかし、どんな職場であれ新人時代は覚えることも多く、負担が大きいのは致し方ない面もある。
「風通しの良い職場」でありながら、より良い教師の育成、そしてなによりも子どもたちにとって良い環境作りに励んでほしいものである。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班