研究者だった被害者の93歳男性
被害者の進藤さんは野草に詳しく、ラン科の多年草「エビネ」の研究者として知られ、1981年に『日本のエビネ』(八坂書房)を出版している。
同書の著者紹介によれば秋田県生まれで早稲田大学文学部卒業後に教職に就き、都立高校教員のかたわらエビネを栽培・研究し、「日本えびね協会」の常任理事をしていたという。
近くに住む70代の男性は取材にこう答えた。
「亡くなった藤義さんのことは知っています。川の近くに畑を持っている農家で、大根やナスを収穫しちゃあ自転車の前かごに入れて自宅まで運んでましたよ。あの年齢だけど元気で、本当に毎日のように自転車を漕いでね。
その野菜を家で食べる分以外は次男と一緒に『道の駅』に月3回ほど売りに行ってましたよ。そういえばあの家は、作った野菜だけでなく、自宅の倉庫に山野草を保管して食べていたね。
藤義さんは東京で先生みたいなことしていたらしく、こっちにきたのは約30年前です。もともとおばあちゃんと奥さんと男の子2人の5人暮らしで、おばあちゃんは結構前に亡くなられてね。
あそこは家庭内でも近隣住民とのトラブルも聞いたことないですよ、もちろん不審者などは見ていません」
近隣に住む70代の女性も事件に驚いていた。
「ここら辺は山の中ですから、クマが出ることはよくあるんですよ。その度に『怖いな』と思っていました。
昨日はパトカーが、クマが出たと知らせていたのですが、どうやら進藤さんのお宅に入ったらしくて救急車も来ていたという話を近所の人に聞きましたよ。『これは私たちも覚悟しなければ...』と思ったのですが、殺人事件だったと知って驚いています。
被害者は盆栽がすごい好きな人、近隣トラブルもないですし、家庭内のトラブルなんかも聞いたことがないです。息子(次男)さんと一緒に野菜を売りに行ったりするくらいですよ。
長男さんは、いつも家にいてたまに自転車に乗って出掛けるところをみたくらいです。家は近所ですけど、関わりがあったわけではないですので、それ以上のことは分かりません」
93歳の老人を惨殺したのはクマではなかった。では誰が何の目的で殺害したのか。捜査の進展が待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班