赤い植物「ローゼル」との出会いが生んだ次の挑戦
レモンとシソのクラフトコーラが地域で話題となり、商品化発表会も成功を収めた頃、伊藤さんは地域の協力者から「ローゼルという植物がある」と紹介を受けた。
聞き慣れないその名前に戸惑いながらも、興味を持った伊藤さんはさっそく調べることにした。ローゼルはハイビスカスの仲間で、美容に効果のあるアントシアニンを豊富に含むことから、古代エジプトではクレオパトラも愛用していたとされる植物だという。
これまでのクラフトコーラづくりの経験を生かし、今度はこのローゼルを用いた新たなレシピを作ることは出来ないかと考えた。図鑑やインターネットで調べ、塾の先生にも話を聞きながら情報を集めたが、味や香りといった具体的な特徴をつかむことができずにいた。
そんな中、三辻屋ベースのスタッフから、豊川市内の障害者支援施設でローゼルを栽培しているという情報を得た。
早速、畑を訪問し施設のスタッフからローゼルについて説明を受けると、葉以外はすべて赤く見た目にも鮮やかなその植物に、伊藤さんは驚きとともに惹き込まれた。
収穫したローゼルをその場でひとかじりしてみると、レモンや酢に似たはっきりとした酸味が口の中に広がったという。この味ならクラフトコーラに合うと直感し、「試してみよう」という意欲が彼女の中で湧きあがった。情報としての関心が、実物に触れたことで確信に変わった瞬間だった。