『TSUNAMI Dangerous?』と不安げな様子で何度も…
都内の外国人観光客の混乱は「海から離れた場所で気をつけながら過ごす」ということで落ち着いた様子だったが、海にほど近い観光地の逗子のゲストハウスは全く違う様相を呈していたようだ。
逗子のとある民泊オーナーは語る。
「今朝、9時40分頃にスマホの緊急速報が一斉に鳴って、外国人のお客様が驚いてフロントに駆け込んできました。音の大きさや内容に慣れていない方が多くて、不安げな様子でした。英語で『TSUNAMI? Dangerous?』と何度も確認されましたね。
特別報道番組が繰り返し放送されていたのを見て、中国人の女性が、『これはドキュメンタリーですか? それとも本当の出来事ですか?』と真顔で聞いて来られました。フィクションの境目がわからないくらい、状況を飲み込めなかったようです。『この音は空襲警報みたいだ』と言っていたヨーロッパから来たカップルもいました」
外国人観光客が増える昨今だが、突如として起こる災害への対応は難しいとオーナーは続ける。
「うちは築年数の古い木造家屋なので、『もし波が来たら大丈夫か』と聞かれることもありました。高台ではないので、避難所の場所や海抜の話にもなりました。とっさに地図を出して、『ここは海抜5メートル、避難所はあちらです』と案内しましたが、急に英語で説明しようとすると難しい。やはり外国人向けの災害対応マニュアルは整備しておくべきですね。今回のことで、自分たちが“なんとなく知っている”で済ませてきた防災知識の穴が見えました」
津波警報によるトラブルもあったと嘆く。
「混乱は最小限でしたが、ひとつトラブルがありました。とあるお客様が、夜に予約していたレストランが臨時休業になったらしく、『せっかく予約したのに残念だ』と言って苛立っていました。事情を説明すると納得してくれましたが、災害に対する受け止め方に文化差があるなと感じました」
観光大国であると同時に地震大国でもある日本。今回の津波警報であらためて、誰もが “もしも”の時に生き残れるように、国籍問わず助け合いの意識を高める必要があるはずだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班