「カルロス・ゴーンさんに再建を託して良いことがあったんでしょうか」
追浜工場周辺には他社の大規模な事業所があったり、海上自衛隊員や米海軍の将兵も暮らしている。別のメーカーの工場に勤める男性は「日産の工場がこの街の経済に占める割合は3割くらいでしょうか。なくなっても街が一気に沈むことはない気がしますね」と話す。
だが飲食店を営む女性、Cさんらには死活問題だ。
「日産の寮に住む若い独身の子や期間工さんがいなくなるとこの辺りの飲食店のお客さんがどれほど減るか、ちょっと分かりません。飲食店だけでなく、そうした大勢の工員さんの生活に関わる全部の産業もいっぺんに仕事がなくなってしまうでしょう。すでにこのあたりでも日産の減産の影響か、自動車関連の下請け会社がなくなったりしています」
そう話すCさんは、“日産の街・追浜”が衰退を続け工場閉鎖にまで至った近年のことを残念がった。
「カルロス・ゴーンさんに再建を託していいことがあったんでしょうか。多くの社員のクビを切って経営再建だーって言って、自分だけものすごい報酬をもらって最後は(国外へ)逃げて行っちゃった。その後、コロナの時の工場は大変で、生産ができずにラインが全部止まった時もありました。そんな時は社員が総出で掃除をしたりしてました。
結局コロナ禍が終わっても昔のような賑わいは取り戻せないままで…。今の経営陣はなんでホンダとの合併をやめたんだろうって思います」(Cさん)
地元では東京や横浜への交通の便が良いため京急電鉄追浜駅前にタワマンが2棟建設される計画があるなど人口が増える余地もある。しかし、そのタワマンは今年5月の着工予定だったが、読売の報道後に2027年1月へと延期されることが発表された。社会情勢を踏まえた検討などに時間を要しているという。
追浜工場の存在感は圧倒的で、これが消えた先に別の企業が工場跡地に進出してきてくれるだろうかとの不安感が街を覆っている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班