いわくつきの公認候補者をあえて密室で選ぶ行為
その後、国民民主党は更に迷走していくが、その真の要因は「ブラックボックス」体質である。特に大問題となった4名の元国会議員らの公認候補者選定は「オープン」な政治とは全く異なるものであった。
まして、4名の候補者選定が最初に問題視された記者会見で「嫌ならその候補者に投票しなければ良い」という趣旨が党から発されたことは致命的だったように思われる。
功を焦って与党との密室調整するのではなく、有権者の支持を受けて国会で堂々と議論することが大事であった。そして、いわくつきの公認候補者をあえて密室で選ぶ行為を慎むべきであった。
しかし、それだけでは支持率が低下することを防止するだけで、国民民主党への期待感を更に引き上げることには必ずしも繋がらなかったことも事実だ。
なぜなら、それは議員数が20名程度の政党のガバナンスに関する基本ルールに過ぎない。その程度のことができたくらいでは、自民党を脅かすほど更に支持率を引き上げることはできない。
昨年の衆院選後、手にしていた政界再編というカード
市民が国民民主党に与えた支持率は政治資源として同党に飛躍の機会を与えるものだった。同党の高かった支持率は、他の野党に属する国会議員にとっても同党に鞍替えする要件として魅力的に見えたはずだ。
したがって、衆院選後、国民民主党執行部は政界再編というカードを常に持っていたことになる。ただし、彼らにはそれを実行する発想や手腕がなかった。
これは候補者公認問題で問題視された4名の人々の顔ぶれを見れば分かる。国民民主党が適当なお友達を拾ってくるだけで、何も大きな政治を動かすつもりがなかった。
まず、山尾志桜里氏や須藤元気氏については、そもそも立憲民主党的な部分がある人物だ。立憲民主党的な人物を欲しかったなら、同党からやや保守的な前代表の泉氏のグループごと引っこ抜いてくるべきだったのではないか。