担当者の多くが「そもそも知らなかった」
ドトールコーヒーショップ、エクセルシオールカフェを運営する株式会社ドトールコーヒーは、「理由となるものは社内にも残っておりませんでした」などと回答。
発祥がアメリカであるバーガーキングも、切り込みが縦であることに「特に理由はございません」と答えている。
前出のモスフードサービスも、回答の際、「発売当時のことを直接知る者がおらず、資料も残っていないため、ハッキリしたことはわかりませんでした」「なんでも知っている商品開発のレジェンドに聞いたのですが、それでも断定はできなかった」と言葉を添えている。
ならば、製パン企業や小売店はどうか?
まず尋ねたのは、業務スーパー・肉のハナマサを運営する株式会社花正。同社は切り込みが縦から入ったパンを『プロ仕様 ホットドッグロール』の名で販売しているが、担当者は「該当品は導入されてから長く、前任者からの商品であり、最新の形状に行き着いた経緯は不明でございます」と答えた。
同じ形状のものを販売する某小売企業と製パン企業は、ともに「回答できる材料がない」などとして回答を辞退。
しかし、いずれの担当者も、個人の意見として「そもそも、本場と向きが違うなんて知りませんでした」とかなり驚いた様子で、日本では“ホットドッグ=縦開き”だと根付いていることがうかがえる。
続いては、数少ない横開きバンズのホットドッグを販売する、コストコとShake Shackの運営会社にも同様の質問をしてみた。
「日本のコストコでも、アメリカと同じ規格のホットドッグを販売しております。そのため、アメリカの規格と合わせて横開きのバンズを使用しております」(コストコホールセールジャパン)
「Shake ShackはNY発のハンバーガーブランドなので、ホットドッグ用のポテトロールはアメリカ式のサイドカットとなっております」(アイビーカンパニー株式会社)
上記の回答からは、バーガーキングのような例外はあるものの、アメリカ発祥の企業は本場式で提供していることがわかる。
となると、日本式との“枝分かれ”はどこで起きたのか……。このルーツを求めて専門家をあたったところ、ある“移動販売”の店舗に行き着いた……。
〈後編につづく『日本のホットドック、横から切り込みを入れない理由は「切腹」にあり? そのルーツは福岡説が濃厚か…』〉
取材・文/久保慎 集英社オンライン編集部ニュース班