なぜ切り込みは縦? 各チェーンに聞いてみると……
日本のホットドッグは大抵の場合、アーチ状になったバンズ上部の焼き目に切り込みを入れ、ソーセージなどの具材が挟まれる。
いっぽう、本場・アメリカでは「最もオリジナルに近い」ニューヨークスタイルをはじめ、切り込みは横に入っているのが一般的なのだ。
ただ、この部分を気にしたことがある人などほとんどいないだろう。
わかりやすく画像を見せると、こちらは昨年末、アメリカの首都・ワシントンD.C.の大衆スーパーで入手したホットドッグ用のバンズ。
このように切り込みは横に入っており、パッケージの「クラシック」という表記からは、これが昔から主流であることもうかがえる。
エリック氏も、「ボストンでは、バンズは上部に開く傾向があります」とご当地ホットドッグに触れながらも、「アメリカでは、横に開くタイプのホットドッグのバンズが最も一般的です」と教えてくれた。
そう、本来のホットドッグの形状は“バンズ上部の切り込みからソーセージを挟んでいる”のではなく、“横に切り込みが入ったバンズを縦に傾けてからソーセージを挟んでいる”のだ。
考えてみれば、切り込みは横のほうが深く入るため、そのぶん具を多く挟むことができる。いわば本場の形状は理に適っているが、日本では縦が圧倒的に多い。
では、いったいなぜ日本式は切り込みが縦なのか。ホットドッグを扱う飲食チェーン各社に問い合わせると……。
「あくまで推測になりますが、日本ではもともと『縦切り』が一般的であった(家庭用ロールパンや、昔からある焼そばパンなど)そうで、それにならったのかもしれません。モスバーガーは日本で生まれたハンバーガーチェーンですので、アメリカ方式を採用しなかったのだと思われます」(株式会社モスフードサービス)
「ソーセージだけでなくチーズなどもトッピングしているため、具材がこぼれにくいというメリットと、見た目の美しさから縦開きで販売しております」(タリーズコーヒージャパン株式会社)
「日本では上に切れ目を入れて具材を挟むのが主流であること(お客様の認知もそのスタイルが定着されている)、バンズを置く際に安定感がある、見た目が美しいという理由です」(株式会社フレッシュネス)
いっぽうで、驚くべきことに“理由がない”“よくわからない”という企業も多かった。