日本にはほぼない“本場式”ホットドッグ
ホットドッグがアメリカの国民食であることは、国を挙げた祝日の独立記念日(7月4日)からうかがい知ることができる。
全米ホットドッグ&ソーセージ審議会によると、消費量はこの日だけでなんと約1億5000万個。ホットドッグ発祥の地とされるニューヨークでは、アメリカで最も有名といわれるホットドッグチェーンのネイサンズ(1916年創業)が主催する「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」が毎年行われ、全米を熱狂させる恒例イベントになっている。
昨年には、フロリダ州在住の須藤美貴さんが10度目の優勝を果たし、女性部門の世界記録も更新した。
アメリカには地域ごとにさまざまなホットドッグがあるが、ネイサンズに代表されるニューヨークスタイルは、マスタードやケチャップ、玉ねぎなどが定番トッピングのシンプルなものだ。
食文化史に詳しいルーズベルト大学名誉教授のブルース・クレイグ氏は、著書『ホットドッグの歴史 「食」の図書館』(原書房・2017)の中で、このニューヨークスタイルを「最もオリジナルに近い」と位置付けている。
いっぽうで日本のホットドッグは、ソーセージのほか、レタス・キャベツなどを挟んだものが一般的だろう。だが、これは本場の人にはやや奇妙に映るようだ。
このことについて、前出の全米ホットドッグ&ソーセージ審議会に問い合わせたところ、会長のエリック・ミッテンタール氏が答えてくれた。
「トッピングに関して、レタスは一般的には使われません。アメリカでレタス入りのホットドッグは珍しいでしょう。キャベツはザワークラウトとしてなら使われることがあります」
さらに、エリック氏に日米のホットドッグにおける根本的な違いについてもたずねた。それは、“バンズの切り込みの向き”だ。