船内にはアルコールを楽しむ客も「観光しているような気分」

実際に運航している現場はどうなっているのだろうか。さっそく乗船してみることに。

この日の乗客は、取材班を含めて、18時五反田発の便が10名、19時天王洲発の便が14名(うち4名は往復乗船)。

定員44名には程遠い状況だったが、船ならではの移動のメリットがはっきりと感じられた。

まず電車との大きな違いは、座席が確保されていることだ。加えて、今回乗った便は乗客が少なかったため、船内にはゆとりがあり、ゆったりと過ごせた。座席はすべて自由席で、公式サイトによれば、自転車やベビーカーの乗船も可能となっている(台数には制限あり)。

「東京舟旅」公式サイト
「東京舟旅」公式サイト

さらに船内では、飲食(アルコールを含む)も可能だ。実際に乗船していた男性の中には、フランクフルトをつまみにハイボールを飲み、船旅を楽しむ姿も見られた。その男性は、船での移動についてこう語る。

「景色がすごくいいね! 仕事終わりに乗ってみたけど、観光しているような気分。東京がまるで水の都みたいに思えて、コンビニで買った酒が普段よりうまく感じるよ」(50代男性・品川区在住)

定員44名の船だが、空席が目立つ……(撮影/集英社オンライン)
定員44名の船だが、空席が目立つ……(撮影/集英社オンライン)

いっぽうで、乗船した瞬間から鼻を刺すような都内の河川特有の臭いが漂っていたのが気になった。この臭いの中で、飲食をしながら約35分間乗り続けるのは、正直なところ厳しいかもしれない。

「ハイボールを飲んでいたから、川の臭いなんて全然気にならなかったよ! 屋形船と比べたら価格もだいぶ安いし、いいんじゃないかな。風にあたりながらお酒を飲んでいたら気持ちよくて、あっという間に着いちゃったよ」(前出の50代男性)

との声がある一方で、仕事終わりに乗ったという別の男性は「やはり独特の臭いが気になる」と話す。

「とにかく、ずっとドブ臭さが気になりました。特に風が吹くたびにモワッと臭いが漂ってきて、それがかなりキツかったです。目黒川を通っているときが一番臭いましたし、川の汚れも気になりましたね。興味本位で乗ってみましたが……正直、もう乗らないと思います」(30代男性・品川区在住)

船からは周遊する屋形船の姿も見られた(撮影/集英社オンライン)
船からは周遊する屋形船の姿も見られた(撮影/集英社オンライン)