ホルモン治療をした登山家は80歳でエベレストに登頂
性的な刺激が男性ホルモンを増やしてくれるのに、日本人はなぜかそういうものを忌み嫌う傾向があります。
日本の医者は「男は年をとったら元気がなくなるのが当たり前」という発想しかなくて、テストステロンの重要性を説明しません。
そのことが、高齢者が性的なものへ関心をもつのは恥ずかしいことだという偏見を広めてしまったように思います。
熟年からの男性を元気にするという意味では、テストステロンを補う治療をもっと普及させるべきだと思います。
私は、高齢の男性こそホルモンを補充することをおすすめします。元気でいられるし、筋肉も落ちにくくなるからです。
性的に元気である人は年をとってからも元気です。
例えば、艶福家としても知られている渋沢栄一にしても、稀代の性豪だったといわれる伊藤博文にしても、年をとってからも元気でした。田中角栄だって脳梗塞にさえならなかったらずっと元気だったと思います。
男性ホルモンが十分ある人は、肉を食べて適度な運動をすれば、年をとっていても筋肉がつきます。
ところが、男性ホルモンが少ない人は、男性ホルモンの十分ある人と比べて、同じだけ肉を食べて、同じだけ運動しても筋肉がつかないのです。
このことひとつとってみても、ホルモンの力はすごいですよね。
「どうも男性ホルモンが不足しているような気がする」と思っている人は、ものは試しで、この機会に補ってみてはどうでしょう。
男性ホルモンを補充して筋肉の回復をはかったよい例として、プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんがいます。
三浦さんは70代の半ばにスキー場でジャンプに失敗して、左大腿(だいたい)骨頸部や骨盤など5カ所を骨折し、医師からは「治っても車いす生活」といわれたそうです。
治療や懸命なリハビリでなんとか回復しましたが、筋肉がゴソッと落ちたのでホルモン療法をはじめました。
三浦さんが言うには、「2週間に1度の注射を続けていたら、高校生のような〝朝勃ち〟が起きて、元気も湧いてきた」そうです。
そして、ご存じのように世界最高齢、80歳にしてエベレスト登頂に成功しました。
エベレストのベースキャンプでも、チームドクターにテストステロン注射を続けてもらっていたそうです。
三浦さんに男性ホルモン補充療法(HRT= Hormone ReplacementTherapy)を行ったのは、札幌医科大学名誉教授の熊本悦明先生でした。
先生は男性ホルモンを日本に導入した人ですが、92歳で亡くなる直前まで現役医師を続けられていました。
また、先生は「男性ホルモン」という名称がよくないので「元気ホルモン」に変えるべきだと主張していました。私も賛成です。