他の人から認められるために頑張る必要はない
昔、旅行会社で講演をしたことがあります。その日はたまたまその会社の面接の日でした。たくさんの若者が部屋の前で面接の順番を待っていました。その中に一人、アジアの国の民族衣装を着た人がいました。皆がリクルートスーツを着ている中、その人の身なりはかなり目立っていました。
それを見た会社の人が「ああいう人は絶対通らない」と話したのを今でも覚えています。当時の私は、会社としては、言われたことを何の疑問も持たずにする人が必要なのかと思いました。
しかし、そうではなく、皆と違うことにことさら重きを置く人の脆さ、皆と違うことをアピールすることの無意味さを見抜いた上での発言だったのでしょう。
面接のときに奇抜なことをする人は多くないでしょうし、そんなことをしてみても、仕事ができるかどうかを判断することはできません。
面接のときではなくても、仕事で自分が特別でなければならないと思っている人がいるとしたら、その人も特別の服装で面接に臨んだ人と同じです。
仕事ではいい結果を出さなければなりませんが、いい結果を出すためにはただ努力すればいいのであり、他の人から認められるために頑張る必要はないのです。
ここでいういい結果とは、数字で明らかになるような結果だけではありません。数字では明らかにならないような結果を出せる人を大事にしない会社で、会社が要求する「数字で明らかになる仕事」ができないからといって、自分が有能でないことにはなりません。
数字では明らかにならない結果を出していても、正しく評価されていないだけだからです。