呼吸筋や体内で起こる炎症の負担が関係している?

海外で発表された研究論文を読んでみました(*1、2)。要約すると、以下のような指摘があります。

● いくつかのアレルギー疾患が合併すると炎症反応や痛みを感じる作用が強まり、ほかの慢性疼痛などを悪化させる可能性がある

● 慢性的な筋肉痛には食物アレルギーが関係していることがある

● アレルギーの既往歴がある人は、背中の痛みやうつ病に罹患している可能性が50%も高い

● アレルギー体質の人の背部痛は、体幹の筋肉と呼吸筋(横隔膜と腹横筋)の変化による「姿勢を維持する力の低下」の結果。また、くしゃみや咳が体幹筋に負担をかけ、脊椎への負荷を増し、「痛みの発生」に拍車をかけている

つまり、アレルギー疾患と肩こりなどの慢性疼痛増悪のメカニズムは、現段階では仮説ではあるものの、「アレルギー疾患による呼吸筋への負担」「アレルギー疾患によって体内で起こる炎症の負担」の両方が関係しているとされているのです。

風邪でもくしゃみや咳が続くと、疲れを感じますね。それで肩や背中のこりや痛みが生じるのは理解しやすい。

一方で、炎症反応が関係するというのは、興味深い示唆で、さらに詳しい研究が待たれます。

「免疫力アップ」のうたい文句には要注意…医師が警鐘を鳴らす、自己免疫反応がひき起こす身体の痛みとは_2

というのも「身体のなかで起こる炎症」はいま医療分野の注目トピックで、がんと炎症の関係なども盛んに研究されているからです。