「住めば豪邸の巻」(ジャンプ・コミックス第50巻収録)

今回は、両さんが同僚の寺井にかけた「すべて計算通りの人生なんておもしろくもなんともないだろ」という台詞が登場するお話をお届けする。

寺井は、妻と二人の息子がいる所帯持ち。破天荒な人物が多い『こち亀』キャラの中では、大原部長をも越える慎重派である。なにしろ両さんからつけられたあだ名が「人生送りバント」で、主な関心事は家族とマイホームなのだ。

そんな寺井も、片道3時間半という長距離通勤にはいささかうんざりしており、家の買い換えをああでもない、こうでもないと思案しはじめるのだが……。

マイホーム購入、ましてや買い換えとなると人生最大級の大博打になる可能性が大きいが、思い悩む寺井に両さんが言い放つのが、今回の「すべて計算通りの人生なんておもしろくもなんともないだろ」という名言!? だ。

なお、このあとに「人生はビッグゲームだぞ。おもしろおかしく生きた方が勝ちだ!」と続けている。

要は「人生行き当たりばったり」な両さんの生き方をそのまましゃべっているわけだが、「おもしろく生きた方が勝ち」という精神には憧れるし、深く納得してしまう方も多いのではないだろうか。

幕末の風雲児、高杉晋作の句「面白き こともなき世を 面白く」にも通じる、人生を楽しく、有意義に生きられるかどうかはおのれの心次第だ、というありがたい教えを両さんは我々に授けてくれているのだ。

ちなみに寺井は、本作の後も何度もマイホーム購入エピソードを描かれており、慎重だが優柔不断な生き方を変えることはなかった。だが、突如としてはっちゃけて、クルーザーを購入して海の男を気取るという暴挙に及んだこともある。普段はおとなしいだけに、思いつめると……というパターンだ。

「海の男!!寺井巡査の巻」(ジャンプ・コミックス第117巻収録)より。超長期ローンを組んでクルーザーを購入し、両さんの教えを実行したのはともかく、息子に船の操縦をさせ……。ちなみに「人生送りバント」は、もともとは本作で寺井の船の名として両さんが考案したもの
「海の男!!寺井巡査の巻」(ジャンプ・コミックス第117巻収録)より。超長期ローンを組んでクルーザーを購入し、両さんの教えを実行したのはともかく、息子に船の操縦をさせ……。ちなみに「人生送りバント」は、もともとは本作で寺井の船の名として両さんが考案したもの

それでは次のページから、寺井が両さんの教えに基づいて、家の買い換えに臨むお話をお楽しみください!!