夫婦別姓ではなく、姓を変更した背景

――結婚してみて、「これが1番揉めた」というのは何ですか。

難しいですね……。姓を変更する際の諸々の手続きは煩雑でした。そうした意味では「選択的夫婦別姓」もいいのではないかと私は考えていました。

特に自身の苗字にこだわりがあったわけではないものの、姓を変更する側の苦労を考えると、釈然としない気持ちにはなりますよね。

しかしそれも、夫が「手伝えることは手伝うから」と言ってくれたので、私が姓を変更することで落ち着きました。

――河野さんは小学校から兵庫県の神戸海星女子学院に入学し、そのまま12年間を女子校ですごされました。そこで自立した女性としての素地が作られたのでしょうか。

人格形成においてどれだけ影響があったかはわかりませんが、大切なものを学ばせてもらった場所だと思っています。女子校なので男子と張り合う必要もなく、ゆっくりと自らの興味関心と向き合えた部分もあるでしょう。

ただ、小学生くらいまでの私は絵に描いたようなアホだったので、今でも本質はそっちではないかと思ってるんです(笑)。

4月からも引き続きセント・フォースZONEに所属している
4月からも引き続きセント・フォースZONEに所属している

――今の河野さんと“絵に描いたようなアホ”が結びつかないんですが……(笑)。だとすれば、何がきっかけで覚醒したのでしょうか。

小学生のとき、外部進学をする子たちがいたんです。当時の私は勉強が嫌いで、どちらかといえば熱心ではありませんでした。しかしその外部進学の子たちから勉強面においてマウントを取られたのが悔しくて、勉強をやるようになったんです。

先ほどの栄養管理の話とも共通するのですが、ひとつひとつをクリアしていく過程がすごく楽しくて、気がつくと勉強が少しできるようになっていたんですよね。

――24歳という若さで河野さんは結婚を決めました。結婚生活における、今後の展望を教えてください。

出身校の同級生を見まわしてみても、24歳で結婚した人は多くありません。特に医療従事者のなかでは、相当早い方かもしれません。でもうちの母親は大賛成で、「今しかない、すぐに結婚しなさい」という感じで(笑)。

すでに臨床現場に出ている同期と自分を比較して、出遅れたように感じて少し落ち込んだとき、夫はいろんな方法で寄り添ってくれます。

「この動画でいいこと言っている人がいるから」と送ってくれたり、心配の根源を探るべくとことん話してくれたり。私は子どもが好きなのでいずれは出産を経験して、家族みんなで支え合えるような生活が続いていけばいいなと思っています。

スイスには2年間住む予定だという
スイスには2年間住む予定だという
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#2 に続く

取材・文/黒島暁生 撮影/野﨑慧嗣