結婚報告に落胆の声も…
――結婚を発表されただけでなく、旦那さんに帯同してスイスへ渡るという発表は、ファンにとってもかなり驚きだったでしょうね。
河野ゆかり(以下同) 多くの方が祝福をしてくださった一方で、「やはり女性は、夫の仕事の都合に合わせて自分のキャリアを諦めなければならないんだ」という落胆の声も聞こえてきました。
しかし、私は自身のキャリアのためにスイスへ行くことを決めました。それを説明しなかったので、誤解されてしまったんです。そういうコメントをみたときに、「あぁやっぱりそういう受け取られ方もあるんだ」と思いましたね。
実は結婚については、それほど強いこだわりがあって入籍したわけではないんです。ちょうど夫がスイスで仕事をすることになり、スイスでキャリアを築きたい私の目標とタイミングが重なったんです。
――実際、旦那さんは「女性が男性についてきて当然」という亭主関白な考え方の人ではないわけですよね? 家事の分担などが気になるところです。
全然違います(笑)。夫は、なんていうか、私がこれまで知り合ってきたなかで圧倒的に能天気ですね。いつも機嫌がよくて、高いテンションをキープし続けられる点を尊敬します。夫を見ていると、「毎日楽しそうだな」と思いますね。そこが「この人となら一生過ごせる」と判断した点でもあるのですが。
亭主関白とは程遠くて、私は夫に「皿洗い担当大臣」と命名して、やってもらっています。他にも、家事は気づいたほうがやる感じですね。
家事負担において、完全に平等を達成するのは難しいと思うのですが、今のところ、うまくやれているほうだと思います。
――河野さんは“何担当大臣”なのでしょうか。
私は料理にこだわりがあるので、食事は私が作りたいんです。栄養素ごとにアプリで管理して、「今日はタンパク質が足りてないな」とか考えながら組み立てていくのが楽しいんですよね。足りない部分はサプリメントを摂取することもあります。
――いまだに日本の一部では「男性は女性がサポートするもの」という風潮があるなかで、河野さんがそうならなかった理由はどんなところにあると思いますか。
自分の両親をみていたからでしょうか。母親は非常にハードワーカーで、それに比較すると父親はワークライフバランスを取るタイプの人です。
どちらが正解というのはなくて、お互いに自分がすごしたいようにすごしていた印象があります。互いに協力できるところで折り合って、家事育児がうまくまわっていました。
例えば私には下に年の離れたきょうだいがいるのですが、しばしば育児を父親がやっているのをみてきました。
ただ社会全般においては、それが当たり前とはいえない現実も理解しているつもりです。
卑近な例でいれば、病院の学生実習でいろいろな科を回るのですが、外科の現場では「女の子は体力的にもきついし、出産・育児などのライフイベントもあるから」といまだに言われることも事実です。
海外においては女性の医療従事者が活躍できる環境が整っていると聞きますが、日本においては必ずしも達成されていない側面もあります。