これから政府がしなければいけないこととは
そのうえで、国民の混乱を防ぐためには、国としての方針が定まってから情報を発信するべきだったという。
ただ今回の政策転換を支持する声がないわけでもない。バラマキのような現金給付よりも、より生活に密接な電気、ガス、ガソリンなどエネルギーに対しての補助金のほうが所得やライフステージに関係なく多くの庶民にとってメリットがあるとの意見もある。
「エネルギー分野への補助金のメリットは、生活の中で“実際に安くなった”と実感しやすい点にあります。特に冬場や夏場の光熱費がかさむ時期には、家計への直接的な支援として意味があります。
一方でデメリットとしては、一度導入すると“恒常的な支援”として定着してしまい、財政面での負担が大きくなりやすいことです。終了のタイミングが難しくなるという側面もあります」(江田氏、以下同)
とはいえ、国民の多くが求めているのは「その場しのぎ」ではなく、持続的かつ安定した政策だ。光熱費の補助は一時的に家計を助けるかもしれないが、補助が終わってしまえば厳しい生活に逆戻りするだけだ。
では、庶民の生活への打撃を根本的に改善する策はないだろうか。
「中長期的には、エネルギー自給率を少しずつでも高めていくことが、安定した生活基盤の確保につながると思います。併せて、電力やガスはすでに自由化されていますので、利用者が自分に合った料金プランを選ぶことで、家計の負担が減る可能性があります。
そうした“選ぶことで得られるメリット”について、もっと広くわかりやすく周知していくことも、今後の重要な施策のひとつだと思います」
「今さえよければいい」という姿勢では、国民の不安は拭えない。その解決策のひとつとしての減税が求められている。うわべだけの対策ではなく、本当に生活が向上する方法を考えてほしい。
取材・文/集英社オンライン編集部 写真/共同通信社