これから政府がしなければいけないこととは

そのうえで、国民の混乱を防ぐためには、国としての方針が定まってから情報を発信するべきだったという。

ただ今回の政策転換を支持する声がないわけでもない。バラマキのような現金給付よりも、より生活に密接な電気、ガス、ガソリンなどエネルギーに対しての補助金のほうが所得やライフステージに関係なく多くの庶民にとってメリットがあるとの意見もある。

「エネルギー分野への補助金のメリットは、生活の中で“実際に安くなった”と実感しやすい点にあります。特に冬場や夏場の光熱費がかさむ時期には、家計への直接的な支援として意味があります。

一方でデメリットとしては、一度導入すると“恒常的な支援”として定着してしまい、財政面での負担が大きくなりやすいことです。終了のタイミングが難しくなるという側面もあります」(江田氏、以下同)

とはいえ、国民の多くが求めているのは「その場しのぎ」ではなく、持続的かつ安定した政策だ。光熱費の補助は一時的に家計を助けるかもしれないが、補助が終わってしまえば厳しい生活に逆戻りするだけだ。

大阪・関西万博の関西パビリオン裏にて鳥取のウォールアートと石破首相(写真/本人Instagramより)
大阪・関西万博の関西パビリオン裏にて鳥取のウォールアートと石破首相(写真/本人Instagramより)
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では、庶民の生活への打撃を根本的に改善する策はないだろうか。

「中長期的には、エネルギー自給率を少しずつでも高めていくことが、安定した生活基盤の確保につながると思います。併せて、電力やガスはすでに自由化されていますので、利用者が自分に合った料金プランを選ぶことで、家計の負担が減る可能性があります。

そうした“選ぶことで得られるメリット”について、もっと広くわかりやすく周知していくことも、今後の重要な施策のひとつだと思います」

「今さえよければいい」という姿勢では、国民の不安は拭えない。その解決策のひとつとしての減税が求められている。うわべだけの対策ではなく、本当に生活が向上する方法を考えてほしい。

取材・文/集英社オンライン編集部 写真/共同通信社