スイングスピードが落ち、打撃に迷いが…
31打数4安打、打率.129で長打は0。昨年に続き、ケガ以外での2軍降格を告げられた坂本勇人。
「このまま終わってしまうのか……。
いや、それでも坂本ならきっと復活してくれる」
そう思わせてくれるような成績を坂本はこれまで残してきた。
2008年、高卒2年目に遊撃手のレギュラーを奪うと、2012年に最多安打、2016年に首位打者、2019年には遊撃手で初となる3割40本を達成。遊撃手としての試合数、刺殺数、補殺数はいずれもNPB歴代最高を記録している。
巨人という大看板を背負い、かつ守備の負担の大きな遊撃手のポジションでこれだけの数字を残したのだから、坂本は「NPB史上最高の遊撃手」と称されても不思議ではない。
そんな彼でも年齢には勝てない。昨年、本格的に三塁手にコンバートされたが、開幕から打撃の調子が上がらず、ケガ以外で初となる2軍落ちを経験。100試合以上出場したシーズンではキャリアワーストの成績に終わった。
とはいえ、ディフェンス面ではかつての広い守備範囲やキレは見られないまでも、打球への反応速度や一歩目の鋭さで幾度も守備でチームを救い、三塁手として初めてゴールデングラブ賞を獲得した。
チームは4年ぶりのリーグ優勝。数々の栄光を知る坂本が「個人的には苦しいシーズンでしたが、一番うれしい優勝でした」とこぼしたのは、打撃で悩んでいただけに本音だったのだろう。
そんな中で臨んだ今シーズンだったが、いまだ打撃不振から脱却できていない。
開幕スタメンを勝ち取り守備では貢献したものの、冒頭で紹介した成績ではさすがの阿部慎之助監督もこのまま1軍で使い続けるわけにはいかなかったか。
筆者の目から見ても、全盛期と比べてスイングスピードが落ちていて、打撃スタイルに迷いがあるように映った。長打が1本も出ていないことからも、状態は深刻なのだろう。