チーム防御率が大幅改善した理由

昨シーズンは、前任である原辰徳政権からの大きな課題だったリリーフ陣を整備。ケラー、バルドナード、大勢という「勝利の方程式」で3連投を避ける方針もハマり、チーム防御率が2023年の3.39から2.49へと大幅に改善した。

リリーフ防御率で見ると、2022年の3.78、2023年の3.81から昨年は2.27。1.5以上も良化したこのリリーフ防御率は12球団トップで、4年ぶりのリーグ優勝の大きな要因だったことは間違いない。

阿部監督は昨シーズン前からリリーフについて「7、8、9回にそれぞれ2枚ずつ用意して日替わりで起用したり、そういうことができれば1年間乗り切れる」とコメント。

その言葉どおり2020年後半から2023年にかけて目立っていた行き当たりばったりの継投策はほとんどなくなり、リリーフ陣のパフォーマンスが一気に向上したのだ。これは捕手出身監督ならではのマネジメント術だろう。

ドジャース、カブスとのプレシーズンゲームではともに力負けしてしまったが…(写真/共同通信社)
ドジャース、カブスとのプレシーズンゲームではともに力負けしてしまったが…(写真/共同通信社)

さらに捕手陣の運用もポイントだった。

シーズン中盤から大城卓三、小林誠司、岸田行倫の3捕手体制を確立。大城が96試合のうち、打力を活かすために一塁手としても出場したり、岸田はキャリアハイとなる79試合でマスクを被ったりと柔軟な采配で捕手の負担を軽減した。

この3捕手の併用は2019年に原前監督が見せた小林、大城、炭谷銀仁朗をうまく使い分けた捕手マネジメントを彷彿とさせており、投手と捕手のパフォーマンスを最大化させたことで、“守り抜く野球”を実現したシーズンだった。