日本文化への憧れ
一方で、娘たちには厳格な親だったと振り返る。
「私たち姉妹にはすごく厳しくて、派手な服は着てはいけないとか、ピアスはあけちゃいけないとか、生活態度についてもいろいろ言われました。
私は大好きだった学校の先生の影響で、もっともっと広い世界に出てみたいと思っていたから、窮屈に感じていたところもありましたね」
そんなカイヤさんが幼い頃に抱いた海外や日本への想い。そのきっかけについてこう話す。
「6歳のときの担任の先生が、毎週火曜日に世界の国々についての授業をしていたんです。とても大好きな時間でした。そこで、日本についての授業があって、とても心がときめいたんですね。“初恋”と言ってもいいかもしれない。
日本の神秘性、文化、寺院、美しい風景、侍…。幼いながらに『いつか世界を旅したい。そして、絶対に日本へ行く』と心に決めました。それから、日本に関する本を読んだりし始めたんです。
進級してからその決意を先生に伝えると『素敵ね。カイヤならきっとできるよ』と言ってくれました」
しかし、家族の反応は芳しいものではなかった。
「母は遠いところへ娘が一人で行くことが心配だったようです。姉たちには『カイヤが外国でやっていけるわけがない』と完全に否定されました。
父は戦争を経験していたので、そのネガティブなイメージにまだとらわれているところがあり、“日本”という単語そのものを嫌がりましたね」
しかし、家族の中で“異端者”だったカイヤさんは、将来の自分の夢を捻じ曲げることはしなかった。そんな彼女に、運命の転機が訪れる。