彼との関係性を改善させる前にやるべきこと
理沙さんのケースは返信が来ないことが悩みでしたが、これに限らず、「彼からの愛情を感じられない」「自分がどうでもよい存在に感じられる」、そんなことが何度も繰り返されると誰もが心の奥で不安や悲しみなどの痛みを感じるようになります。
痛みを抱えながら彼のことが大好きという気持ちを感じることは、とてもむずかしかったりします。そんなもどかしさから、彼に対する怒りの感情が湧いてきて、さらに苦しくなってしまっていたのです。
そこで私は、彼との関係性を改善させる前に、まず理沙さんの今の苦しい気持ちをケアすることを提案しました。
はじめに、ソファーに座っている理沙さんのひざの上にクッションをのせ、目を瞑ってもらいました。そして、彼女にこんなお願いをしました。
「朝、目が覚めて、携帯を見て、彼からの返信がないことに気づいて、すごくがっかりした気持ちを感じていた。今、ひざの上にのせているクッションをあの時の自分だと思って、やさしく、やさしく抱きしめてもらってもいいですか?」
理沙さんはクッションをやさしく、やさしく抱きしめました。
「どんな感覚がしますか?」
「ちょっとだけ安心する感じがします」と理沙さんは言いました。
「今、あなたが抱きしめている〝女性〟は、彼に対して言いたいことをたくさん飲み込んでがんばってきたとわかりますか?」と聞くと、理沙さんは小さく頷きました。
「その女性は、もしかしたら彼に対してだけではなくて、今までの人生でずっといろいろな場面でこうやって言葉を飲み込んで、がんばり続けてきたのかもしれません。それは、彼女の人を思いやるやさしさで、私は本当にすばらしいと思うのです。
だから今日は、彼女の今までの人生のがんばりを認めてあげる日にしませんか?」と私が言うと理沙さんは「はい」と答えました。
「クッションをやさしく撫でながら、心の中でこう伝えてあげてください。『よくがんばったね』」