なぜ、人にはつながりが重要なのか?

社会的なつながりがなぜ脳によいのか、ここでまとめてお伝えしましょう。

●気分のよい会話は、脳内のセロトニン、オキシトシン、ドーパミンなどの幸せホルモンを放出させ、健康や幸福感を高める

●人と話をすることで、脳細胞を使い、脳の萎縮を防ぎ、脳の老化に伴う認知症などの症状を遅らせる。単調な脳細胞の使い方よりも、幅広い年齢の人と幅広い話題の会話を行うことがよいとされる

●人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすいというネガティビティバイアスがある。そのため、ひとりでいると思考はネガティブな方に傾いてしまうため、人と話すことでそれを止めるようにする

精神科医の間でよく言われているアドバイスがあります。

それは、精神科医というのは「人の話を聞いてあげることが一番大事」というアドバイスです。私自身は精神科医ではありませんが、何人かの精神科医から聞いているので、広く伝えられているようです。

引きこもりやうつの人にとっても、定期的に診察室に来て話すことは、とても価値があると臨床的にも考えられています。

自分の話を聞いてくれる人がいないと、感情が鬱積し、どんどんネガティブな方に傾いてしまいます。わずかな時間でも話す相手がいれば、感情や思考の流れがどんどんネガティブな方に傾いてしまうことを防げます。

写真はイメージです
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患者の話を聞くことを徹底させた心理療法というものもあります。

アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャースが提唱した「クライエント中心療法」と呼ばれるものです。

彼は、カウンセラーにはたくさんの知識や権威は不必要であり、患者の話に対してどれだけ無条件に心を開き共感的な姿勢を示せるかが大事であるとしていました。
もちろん、これは数ある主張のうちのひとつ。

すべての患者に当てはまるわけではないでしょうが、話を聞くだけで症状が改善する患者が多いというのは、精神科医の中でよく言われている事実です。

ただ、情報過多の現代で、話をじっくり聞いてもらえる機会というのは少なくなっているのではないでしょうか。