監督やコーチの資質を一発で見抜く一流選手たち
たとえば、イチロー選手やダルビッシュ選手のような自己認識能力の高い選手は、監督やコーチの資質も一発で見抜く。しかし、素直に間違いを認め、勉強しようとする監督やコーチを見限るようなことはしない。むしろ、間違いを認めず自分の考えを押しつける監督やコーチに拒絶反応を示す。意見の違いは、信頼関係の崩壊には結びつかない。
監督やコーチが選手の感覚とは違うことを言ったとき、選手はそれを否定したいと思って何かを言う。その当然の行為を頭ごなしに否定し、自分の考えを主張し、有無を言わさず押しつけてはならない。
「あ、そういうことか」
選手の考えをいったん受け入れ、選手の感覚を理解することに努めるべきだ。そこからさまざまな質問を重ね、選手の反応に対してさらなる質問を積み重ねていけば、選手の考えを軌道修正するタイミングが必ず出てくる。その機を逃さず、ここぞというタイミングで的確なアドバイスを送る。
そのタイミングは、選手がこちらの話を聞く姿勢になっているかどうかによる。そのタイミングであれば、選手もアドバイスを受け入れ、自分のやり方を考える。そのやり取りを何度もできるような関係が理想だ。
当然のことながら、選手がアドバイスを100%受け入れるわけではない。間違っても「俺が言ったことをやっていないじゃないか」と叱責してはならない。重要な狙いは、コーチングを契機に選手が主体的に考え、プラスアルファの成長をしてくれることである。監督やコーチの言うことに服従することではない。