「まあいいか」で生きていく

クリニックを立ち上げてしばらくして、患者さんも増えはじめてきたころから、末娘の四女が土曜日にクリニックを手伝ってくれるようになりました。

四女だけはまったく実母の手助けなく自分で子育てをしたからか、四女が一番私に性格が似ているようにも思います。

先日、私が「いつお迎えが来るかわからないから」なんて言ったそうで、四女は心配していたようなのですが、翌日には、「そんなこと言ったかしら」と私が言うので驚いた、と聞きました。私は、そんなことはすっかり忘れていたのでそう言われて驚いたくらいです。そのときは何かしら少しそうしたことを思ったのでしょうが、すぐに忘れてしまいます。

心の問題は心で解決してはいけない…93歳の心療内科医が「自分にこそ『ここまでよく頑張った』と言ってほしい」と説く理由_3
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四女も私のそんな性格を受け継いでいるようで、何かいやなことがあったり、うまくいかないことがあったりしても、「まあいいか」とすぐに切り替えてしまうようです。コツがあるのかというとわかりませんが、自分になんとかできないことに固執しないことかもしれません。

四女は「まあいいか」ですが、たとえば「よし、おしまい!」「まぁ、大丈夫!」など、何かご自分の「切り替えスイッチ」のような口ぐせがあるといいですね。言葉は言霊ですから、気持ちを変えて、行動を変える効果は大いにあると思います。

文/藤井英子

ほどよく孤独に生きてみる
藤井英子
ほどよく孤独に生きてみる
2025/2/20
1,540円(税込)
160ページ
ISBN: 978-4763142016

離れていい。ひとりでいていい。
誰かとうまくかかわるための、心地よい「心の守り方」とは?
予約が絶えない心療内科医の「近づきすぎない」幸せの秘訣。


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人間関係は、なければ寂しく、
あれば煩わしいものですね。
ときどき、ほどよい孤独を選んでみませんか?
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93歳の現在も、日々診療に向き合う心療内科医の藤井英子医師。
現役で仕事を続けるなかで紡ぎ出される自然体の言葉が評判です。
日常の暮らしのなかで、心がすこし曇り空の日、雨降りの日など、
ふと立ち止まる日に心を軽くする言葉が満載です。

前作『ほどよく忘れて生きていく』の感想にあった「1日誰とも話さない日があってさびしい」という声に、先生がお答えするかたちで、「ほどよく孤独に」というメッセージが生まれました。
人間関係も、人の目も、情報も、
「すこし離れている」くらいでちょうどいいのかもしれません。
日々、自分の心に目を配り、からだを動かして、人間関係をすこし軽やかにする。

見開きに1つのお話で、さらりと読めるのに心に残る、
ずっと手元に置いていただきたい1冊です。

【目次より】
◎「属さない」自由
◎近い人ほど「あっさり」
◎気が合わないのは「あたりまえ」
◎「友だち」より「話し相手」
◎「人の噂」は半日もたない
◎恨みは「忘れる」ではなく「かき消す」
◎いつだって「これから」を話す
◎過去は「アルバム」にだけ
◎「まあいいか」で生きていく
◎自分にこそ「よく頑張りました」

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