楽観論が一転、ピンチに…安倍派からも不満タラタラ

さらに、ここに来て石破政権を追い詰めているのが、旧安倍派の会計責任者・松本淳一郎氏の参考人招致だ。

松本氏は非公開の形で参考人招致に応じることにしたものの、具体的な実施方法については、松本氏側から質問内容の制限や日程公表の時期について条件を出し、態度を硬化させた。

これに立憲・維新・国民民主などの野党が反発し、予算審議の日程が後ろにずれていったのだ。

「当初、立憲の野田佳彦代表は『いたずらに日程闘争をすることはしない』と明言し、自民内には『立憲も新年度予算の年度内成立には協力してくれるだろう』という楽観論も広がっていましたが、一転、年度内成立が確実になる3月2日までの衆院通過が危ぶまれる事態になりました」(全国紙政治部記者)

さらに、松本氏の参考人招致をめぐる問題は、予算審議の日程以外の面でも石破首相の頭を悩ませる。もともと石破首相とは距離のあった安倍派内で、さらに不満がたまっているというのだ。

昨年の衆院選で落選した安倍派の元議員は、「参考人招致をめぐるゴタゴタで、また安倍派の裏金問題に注目が集まってしまった。次の総選挙で公認をもらえる見通しもまだ立っていないし、いつになったら裏金問題に区切りがつくのか…」とため息をつく。

立憲民主党の野田代表(本人公式Xより)
立憲民主党の野田代表(本人公式Xより)

綱渡りの石破政権が生きる道は…

取り込みたい野党はもちろん、味方のはずの与党からも突き上げをくらい、いばらの道を進む石破首相。だが、夏の参院選まで政権を維持する道が断たれているわけではない。

「立憲としても、石破首相を生かさず殺さずで、自民党が不人気のまま、参院選に突入したいでしょう。石破首相もこんな不人気の状況で衆参ダブル選はやらないだろうし、大きな選挙は東京都議選と参院選くらい。誰が首相でも負けるのなら、負けた責任は嫌われ者の石破首相に押し付ければいい」とみるのは自民党議員だ。

このように与野党それぞれ、石破政権が長引いたほうがいいという思惑が一致し、夏の参院選まではしぶとく政権が生き残る可能性が残されているというのだ。

総裁選のとき、縁起物のカツカレーを食べる石破首相。果たしてこの夏はどうなるのか…(本人Xより)
総裁選のとき、縁起物のカツカレーを食べる石破首相。果たしてこの夏はどうなるのか…(本人Xより)
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この可能性に賭け、石破政権は予算審議、夏の参院選を乗り切ることができるか。それとも足元が崩れてしまうのか。政権の試練はまだまだ続きそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班