落選して無職に。党も除籍
「今はただの政治に詳しい一般人ですよ。本当は陰キャだし」
こう話すのは、ブロガー議員としてもおなじみの元参議院議員・音喜多駿氏。つい3ヶ月ほど前は日本維新の会の政調会長や東京維新の会幹事長を務め、順調な政治家人生を歩んでいたが、2024年10月の衆院選であえなく落選した。
「5年ぶり2度目の落選ですけど、やっぱり落選はするもんじゃないですね……。ただ、自分の選挙が5回目で、応援を含めたら何百と選挙に関わってきたので、勝つ選挙か負ける選挙か、チラシを1時間配ればだいたいわかるんです。
中盤くらいで今回は相当厳しい戦いになると気づき、負けを覚悟して投票日を迎えたので、事務所に誰も呼ばず開票見守り会もやりませんでした。区議会議員の妻も、別の候補者のところに行っちゃって、さびしい落選ですよ」
敗因は何だと考えているのだろうか。
「私自身の至らなさが一番ですが、党としても流れをつかめなかったと思います。維新も、躍進した国民民主と同じく現役世代のための政策を掲げていました。だけど、国民民主みたいにはいかなかった。
国民民主は『手取りを増やす』という強い一本のメッセージがありましたよね。一方の維新は『政治改革』『社会保障の抜本改革』『教育無償化』などがあり、メッセージが散漫になってしまった印象です。
私も党の一員として、より的を絞って社会保障制度改革を大テーマとして掲げることを提案していたんですけど、『高齢者をわざわざ敵にまわす必要はない』という慎重意見も多くて。候補者によって若者向き、高齢者向きとメッセージが異なったことで、一枚岩ではない感じが伝わってしまった面もあったのではないかと思っています」
維新からは、落選の時点で党を除籍されたという。一体どういうことなのだろうか?
「維新は特殊な政党で、落選すると党籍がなくなるんです。自民党や立憲民主党は、落選しても一般党員として籍が残るようですが……。2000円の党費を払えば一般党員にはなれますが、なんか悔しいので、今は無所属です。“維新に詳しい人間”という立ち位置ですかね(笑)」
衆院選後は、新宿区にあった事務所は閉鎖。だが、活動費や収入源を確保するため慌ただしく過ごしているという。いちばん悲しかったのは、選挙ポスターをはがす作業で……。
「自分の顔をひたすらはがすわけですよ……つらいですよ。『(はがすのが)遅い!』とめちゃくちゃ怒られたこともありました。そのままでいいと言ってくださったところは、日本維新の会のポスターに貼り替えました」
今は「社会保険料引き下げを実現する会」という新しい政治団体を立ち上げ、すでに政治活動を再開している。とはいえ、現職の議員が国会で戦っている姿を見て「うらやましい」と思うこともあるそうだ。
「議員のときは毎日が戦のようなヒリヒリした日々を過ごしていましたから。いま、いろいろやることがあっても、それに比べると物足りなさを感じるというか……。早く国会に戻りたいという気持ちはあります。衆参同時とか、衆院選も早いかもしれないですし。