利用者よりも、広告が容認されてきたことが問題
こうしたオンラインカジノの問題が、人気芸人たちの利用発覚をきっかけに世間の注目を集めることとなった。しかし、本質的な問題は社会構造にあり、そこに目を向けるべきだという。
「報道された芸人さんや広告塔に使われた有名人はある意味、被害者的な立場にあります。政府による対策や法規制が進まないまま、メディアが大々的に広告を展開してきた構造こそが問題なのですから、違法性を見抜けなかった利用者に非難が集中するのはおかしなことです」
オンラインカジノの主なターゲットはスマホを利用する若者だ。ギャンブル依存症に陥ったり、多額の借金を抱えたりする人が後を絶たず、闇バイトや自殺に追い込まれるケースもあるという。未来ある若者をそんな危険から守るためには、どのように対策を進めるべきなのか。
「依存症に陥ると、意志やモラルだけでは歯止めがきかず、違法性を認識しても止められなくなります。そのため個人の意志に頼るのではなく、国による抜本的な解決策が不可欠です。具体的には、サイトブロッキングの実施や、参入業者への重税・罰金の導入などの対策が必要でしょう」
また、オンラインカジノの違法性を周知することも重要な対策の一つだ。しかし、より深刻な問題は、違法性の認識が広まることによって、利用者が罪悪感から誰にも相談できなくなり、闇バイトなどの危険な状況に追い込まれてしまうことだ。
オンラインカジノを利用してしまい、自力でやめることが難しい場合は、専門の相談機関に相談することが有効な解決策となる。
「今すぐにでもやめられる人は、すぐにやめるべきです。アカウントをすべて削除し、今後届く営業メールもすべてブロックしましょう。しかし、やめるべきだとわかっていてもやめられない人は、依存状態にあるため、必ず相談機関に連絡してください。
相談機関が通報することは決してありませんし、警察からの事情聴取についてのアドバイスも可能です。また、警察との面談が必要な場合は、同行することもできます。適切なアドバイスをしてくれるので、必ず相談機関とつながってほしいです」
公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会
070-4501-9625
取材・文/福永洋一