“自力婚”か“お膳立て婚”か
自然恋愛から結婚する“自力婚”とは対照的に、上司や親などのお節介などから生まれる“お膳立て婚”。昨今の婚姻数の減少は、この“お膳立て婚”の減少が大きな要因だと荒川さんは指摘する。
「“自力婚”は合コンや友人の紹介、バイト先や旅先、ナンパから派生した恋愛結婚を指します。一方、“お膳立て婚”はお見合いや上司が仲介に入る職場結婚、結婚相談所などです。
正直、恋愛に能動的か受動的かの違いともみえますが、恋愛強者3割は“自力婚”できますが、自力では無理な7割が“お膳立て婚”の減少で結婚できなくなったんです」
しかし、近年は気軽にパートナーを探す「マッチングアプリ」の登場も後押しし、アプリ婚する人も増えているが、荒川さんは意外にも警鐘を鳴らす。
「マッチングアプリは恋愛強者がずーっとモテ続けるという現象が起きやすく、結果的に強者がいつまでも結婚しなくなるツールと化しています。強者がアプリで幅を利かせ、無双し続ける限り、中間層や弱者が上位層に食い込むことは難しいでしょう」
しかし、アプリがなかった1980年代は、強者が弱者のキューピットになることもあったという。
「アプリのない時代は、強者の主戦場は合コンでした。強者は合コンでモテたくてしょうがないから、自分が目立つようにメンバーの中に中間層や弱者を入れたりしてたんです。でも案外そうやって集められた弱者同士が意気投合して結婚したりする展開もよくあったんですよ」
本人の意思や価値観の問題ではなく、もはや社会の構造として婚姻数が減少する状態になっていることが危惧される現代日本。果たしてこの現状に対する突破口はあるのだろうか。
「講演会でもよく『強者ではない7割の僕ら(私たち)はどうしたらいいんですか⁈』と質問されるんですが、そういう方には『とにかくモテる奴を早く結婚させること』とアドバイスしてます。そうしたら、自分が中間層の上位にいる場合、相対的な価値があがって強者に食い込めるかもしれないじゃないですか(笑)」
果たしてこの理論は、日本の婚姻数上昇の強力な一手となるのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部