コメ不足を解消するための最善の手

つまり、今回のコメ不足は、農水省がコメが不足しているという認識を持っていなかったことが大きく影響しており、備蓄米放出という世論が巻き起こっても、民間備蓄が十分という認識を変えることなく、昨年10月の食糧部会で「新米が出回ればコメ不足は解消される」と言い切っていたことが原因になっているということだ。

都内スーパーのコメ売り場(撮影・集英社オンライン編集部)
都内スーパーのコメ売り場(撮影・集英社オンライン編集部)
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さらに、これまでの著書でJA(農業協同組合)の裏側を書いてきた窪田氏は、今回の一連のコメ不足にはJAにも責任があると指摘する。

「JAの責任は、高米価を維持するために減反を支持・推進したことと、市場をつぶしてきたことです。要は需要に応じて生産するということをないがしろにしてきたことが問題であり、そこに大きな責任があるでしょう。昨年夏から今も続くコメ不足を解消するには、減反の廃止と市場の創設が最善だと考えます」

ダイレクトに家計に直撃するコメの高騰。一刻も早く“米騒動”が沈静されてほしい。

取材・文/集英社オンライン編集部

窪田新之助●1978年福岡県生まれ。明治大学文学部卒業。日本農業新聞で国内外の農政や農業生産の現場を取材し、2012年よりフリーに。著書に『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』『データ農業が日本を救う』『農協の闇(くらやみ)』『誰が農業を殺すのか』(共著)など。