「好きだから…殴ったりしても好きだから」

さらに検察官の追及が続く。

智華被告と貴聡被告の口論の音声データやLINEのやり取りが、押収されたiPhoneに残されていた。

この点について検察官は「たしかに2人とも口調を荒らげて話していますが、智華被告人が一方的に言いくるめられてることはまったくない。LINEも怯えている様子はまったくない」と告げる。

「私も毎回、毎回暴力を振るうわけではなく、詐欺のときだけ暴力になってしまうわけです。その録音の内容は詐欺とは関係ないはずです。怯えてるかどうかは文章からじゃわからないでしょう」と鼻で笑った。

斎藤夫妻の様子をエレベーター内や店などの防犯カメラで確認しても仲よく話しているところしか映っていないと検察官が指摘すると「24時間ケンカしているわけではないので。外でもケンカしない。四六時中、毎日、365日起きてる間ずっとケンカしているわけではないので勘違いしないでほしい」と真っ向から否定する。

夫婦が住んでいたタワーマンション
夫婦が住んでいたタワーマンション
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検察官が「では、愛してるとか言ってますが、なぜ詐欺のときだけ暴力を振るうんですか?」としごく真っ当な質問をすると、

「私が1人でやりたくなさすぎて。どうしても手伝わせたいという感情が芽生えてしまって我を忘れてしまった」などと答えた。

暴力を振るうことは100%自分が悪いと言う貴聡被告に、検察官も「それなら、なぜ離婚しないのか?」と問い詰めた。

すると「好きだから。殴ったりしても、好きだからという理由で男女関係続けたらダメなんですか?」としれっと返した。

最後に検察官は「あなたが大切な奥さんである智華被告をかばっているようにしか思われないことはわかりますよね?」と尋ねた。貴聡被告は「実際に私はあったことを」と話し始めるが、すぐに「以上です」と回答を打ち切った。

貴聡被告は尋問を終えて退廷しようとする際、智華被告に向かって手錠をはめられた左手を腰元で小さく振った。

証人尋問は斎藤夫婦の茶番劇が繰り広げられる結果となったわけだが、今後どのような判決が下されるのかに注目が集まる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班