「現実の中で見つけられていないコマンドがあったら…」ウラワザをテーマにしたきっかけ
――『バグエゴ』は「ウラワザ」という方法で現実世界にさまざまな“バグ”を引き起こす高校生たちの物語です。どんなところからこの話を思いついたのでしょうか?
ONE 例えば「この場で突然踊ってみたらどうなるんだろう?」とか、変な行動をとった先の結果を意味もなく想像することが人にはあると思うんです。想像はするけど絶対に実行しないといったことが世の中にはたくさんあって、実行した先の結果は予想できるけど、誰も実際に試すことはない……。
それがレトロゲームなどで普通ならやらない行動の先にある“バグ”というものにリンクして、もしかしたら現実の中で見つけられていないコマンドがあったら面白いかもしれないと考えました。
あと映画『マトリックス』のような世界観がすごく好きなんです。もしも世界が設計されたもので、その設計にほころびがあったら面白いんじゃないか……みたいなことを考えたんです。
それに“ウラワザ”という言葉自体もいろいろ定義できると思っていて、ズルい・ズルくないは別にして、例えば裏口入学とか、正道ではないやり方。そんな一般的なウラワザをさらに超越する、世界のシステムそのものへのウラワザを握ってしまった何の変哲もない男の子がいる、というところから何か作りたいなと……。
――設楽先生はこのお話がきたとき、どんな心境でしたか? またONE先生から『バグエゴ』のプロットをもらったときの率直な感想もお聞きしたいです。
設楽 すごい光栄なことですよね。でもすごいビビりました(笑) ONEさんの作品は大好きなので。ただONEさんとは以前にお会いしたことがありましたし、共通の友人も何人かいたので、そこまで遠い存在という感じではなく。とはいえお話がきたときには「自分でいいの!?」と思いました。
『バグエゴ』に関しては、まず設定が面白いと思いました。超能力でもないし魔法でもない。現象がテーマっていうのがすごいですよね。そんな日常に潜むバグ、いわゆる“秘密”を共有する高校生という点に共感しましたし、面白くなりそうだなと。描きながらワクワクしている自分がいます。