男性からの想定外の支持、カレーパンは「オープンに間に合うか不安だった」 

こうして、2023年8月に東京・有楽町の東京交通会館ビル1階に「GODIVA Bakery ゴディパン 本店」をオープンさせた。 

▼東京・有楽町のGODIVA Bakery ゴディパン 本店
▼東京・有楽町のGODIVA Bakery ゴディパン 本店

まずはとにかく1店舗出店してみて、そこで得た学びや反省を生かして次のステップを考えていく。

そうした心構えで臨んだそうだが、ふたを開けてみれば連日大盛況。ヒットの要因は男性からの支持だという。

「通常のゴディバの店舗は圧倒的に女性の比率が高いんですけど、有楽町のゴディパンのお店に来る女性と男性の割合はおよそ7:3で、男性のお客様も結構多いんですよ。もともとは30〜40代の女性をターゲットにしていたんですが、実際にはご夫婦で買いに来られたり、男性ひとりで来られたりと、すごく客層が幅広いなと感じています」

ゴディパンは常時約20種類以上のラインナップをそろえていて、特に人気の商品はコロネ(ショコラ)、クリームパン、カレーパンの3種類。

なかでも、見た目がスイーツのようなカレーパンは商品開発に約1年の時間を要したという。ゴディバはスイーツが得意分野であるため、菓子パンはこれまでの知見を活かして開発を進めてきたが、惣菜パンは初の試みで「試行錯誤の連続だった」と奥村さんは言う。

▼「ショコラティエのカレーパン」 453円(税込)
※2025年1月時点での価格
▼「ショコラティエのカレーパン」 453円(税込)
※2025年1月時点での価格

「カレーの隠し味にチョコレートを使うのはよく知られていますが、そこをあえて隠さず、チョコレートの存在感をしっかり感じられる味を目指したかったんです。しかしカレーの風味は非常に強いため、それに負けないチョコレートのインパクトを出しつつ、両者を違和感なく融合させて一体感のある味に仕上げるのは想像以上に難しくて…。

どの種類のチョコレートをどの割合で加えるかをシェフとともに試作を重ね、何度も味がわからなくなるほど試食を繰り返しながら最適なバランスを探りました。オープンに間に合うか本当に不安でしたが、なんとか商品化のGOが出てほっとしたのを覚えています」

最終的にはカレーの中だけではなく、パンの生地にもチョコレートを入れて焼くことで、カレーとチョコレートが調和した味を見出すことができ、ゴディバならではのカレーパンが完成した。