コンビニ、カフェなど販売チャネルを拡大してきたゴディバ 

大切な人への贈り物や自分へのご褒美など、毎年バレンタインの時期にはさまざまな商品が店頭に並ぶ。

ゴディバでは、期間限定のチョコレートを詰め合わせ商品や他社とのコラボレーション商品が人気となっている。

当たり前のように私たちがその名前を知っているゴディバ、それは2000年代の後半から、ゴディバが常に新しい需要を創出する販売戦略を展開してきたからである。

2010年にコンビニでの販売を開始すると、毎年ラインナップを増やしながら、ゴディバ監修のスイーツやパン、チルドカップ飲料といったコラボ商品を次々と投入している。

コンビニへの販売チャネル拡大に続き、2017年に、ここでしか味わえない特別なゴディバに出会えるコンセプトストア「Atelier de GODIVA」をオープン。

2020年にはゴディバの世界観を日常で楽しめる「GODIVA café」を東京駅に出店。

▼ゴディバカフェ 日本橋店の写真
▼ゴディバカフェ 日本橋店の写真
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そのほか、2022年にはゴディバのオリジナルクレープなどを「GODIVA dessert」、2023年は駅ナカや改札付近で見かけるコンセプトストア「GODIVA GO!」など、さまざまな新規事業を立ち上げてきた。その一環として、2023年8月に世界初出店を果たしたのがGODIVA Bakery(ゴディバ ベーカリー)以下ゴディパンだ。

オープン以来連日大盛況で、「整理券の配布(現在は終了)」や「1人5点までの購入制限(現在は10点まで)」が設けられるほどの反響を呼んでいる。

ゴディバにとっては異業種であるベーカリー業態に、どうして参入することになったのか。立ち上げに参画した奥村さんは「日常の中でどれだけゴディバを楽しんでいただけるかを軸に構想を練った」とし、次のように説明する。

「バレンタインなどの『ギフト需要』はあるものの、日常的に自分用に購入する機会はまだ少なく、もっとゴディバを気軽に楽しんでいただきたいという想いがありました。そこで、普段から食べる機会の多いパンに着目し、ブランドとの接点を自然に広げていくことを考えたのです。

また、パンとチョコレートは相性も良く、いろんなことができるのではと考えたのがゴディパンを作る構想の原点になっています」(奥村さん、以下同)

当初は既存のゴディバの店舗に併設する「ショップインショップ」型の出店も検討したそうだが、鮮度が重要なパンをどこで作るのか、美味しさをどう保つかといった点で難題に直面したそうだ。

色々と試行錯誤していくなかで、「自分たちでその場で焼いて、その場で提供すること」に行き着いたと奥村さんは話す。

「準備段階では、ビジネスとして成り立つか見通せない状況でしたが、だからこそ、ひとつひとつ丁寧につくっていくことが大切だと感じました。チョコレートは温度や食材との組み合わせによって多彩な変化を楽しめるのが魅力です。そういう意味でも、ショコラティエのアイディアとそれを体現すべく、手間ひまかけたパンを提供できれば、お客様にも喜んでいただけるのではと考えていました」